今話題の仮想通貨を知ろうVOL.5  「仮想通貨元年」の振り返りと税金対策

5回に渡ってお届けした仮想通貨の話も、今回で一区切りです。「仮想通貨元年」の動きや認知度アンケートのレポート、今後の展望をFPの加藤仁美さんにお聞きしました。また、12月以降は年末調整がありますので、仮想通貨に関わる税金の話を少しお届けします。

普及へ前進、でも「様子見」派も多数


【出典:coinmarketcap.com】

2017年は「仮想通貨元年」でした。言葉だけは知っている、という人は増えたのではないでしょうか。世界中の仮想通貨の時価総額が2017年11月28日時点で約30兆円を突破。2016年は約1兆円規模だったことから考えると急速に市場が拡大しました。

「仮想通貨市場の約半分を占めるビットコインは1BTC=110万円を突破(2017年11月29日現在)。この連載を始めた2017年7月下旬頃は、1BTC=25万円前後、4倍以上に価値が跳ね上がったことになりますね」(加藤さん)


【出典:http://coinmap.org/】

全世界ではビットコイン決済ができるところが約1万件(上記「coinmap」から検索できます)。国内では、ビックカメラや旅行会社H.I.S.の首都圏の一部店舗でビットコイン決済を導入するなど利用できる店も少しずつ増加。銀行大手の三菱UFJ銀行も独自コインの開発準備を進めており、日本国内における仮想通貨への対応もいろいろありました。

認知が進む一方、利用についてはまだ進んでいない状態。「仮想通貨」に対するイメージや購入経験を、今年10月に調査会社マクロミルが日本国内に住む約1万人を対象に調べた結果を公表。それによると…

ビットコインの認知度

【知っている】      →31.4%
【名前は聞いたことがあるが意味はわからない】→56.2%
【まったく知らない】   →12.4%

仮想通貨の購入

【経験がある、保有している】   →2.7%
【経験がある、今は保有していない】→2%
【購入したことがない】      →82.9%
【まったく知らない】       →12.4%

データ提供/株式会社マクロミル…全国20~69歳の男女(マクロミルモニタ会員)を対象にインターネットで調査、期間は2017年10月18日(水)~19日(木)。

利用経験者は4.7%。良くも悪くも報道の機会が増え、認知は上がったということですね。

 

確定申告が必要な人も

12月以降は「年末調整」の時期です。今年初めて仮想通貨を保有、高額な利益が出て使用したり、日本円に換金した人は注意が必要です。

No.1524 ビットコインを使用することにより利益が生じた場合の課税関係

 [平成29年4月1日現在法令等]

ビットコインは、物品の購入等に使用できるものですが、このビットコインを使用することで生じた利益は、所得税の課税対象となります。

このビットコインを使用することにより生じる損益(邦貨又は外貨との相対的な関係により認識される損益)は、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分されます。

(所法27、35、36)

(国税庁ホームページ、タックスアンサーより引用)

仮想通貨は【雑所得】に分類されます。円で仮想通貨を購入し、その後利益が出た時点で日本円に換金または出金した場合、利益分は所得になります。「利益が出ることによって税金が発生しますが、利益確定が考えられるタイミングは❶換金した時、❷出金した時と税理士さんによって2つに見解が分かれています。保有している(ウォレットに入っている)場合は、利益が確定したとはいえないようです。確定した利益が20万円以上あった方は早めに税理士事務所などに問い合わせてみましょう」(加藤先生)。

 

「普及率16%」はまだ先…?

2018年、仮想通貨の動きは鈍るか、加速するか、気になりますよね。マーケティングの「イノベーター理論」に当てはめると、「価格も価値も上昇傾向にあるのでは」と加藤先生は考えているそう。「物事の普及には流れがあり、上の図のように商品購入者を5つに区分して考えられます。パーセンテージは普及率を示します。取引所が多いアメリカの普及率は3%程度ではないかといわれており、世界的に見ても数パーセント台だと推測されています。今仮想通貨を保有している人はおそらく【アーリーアダプター】。流行りものとして普及するまでには時間ももう少しかかり、それまでは仮想通貨が淘汰されることは考えにくいのではないでしょうか」

ビットコインは世界シェア1位の仮想通貨ですが、日本国内の取引所で購入できる仮想通貨は

・イーサリアム
・ビットコインキャッシュ
・リップル
・ライトコイン

などがあります。

上記に挙げた5つは、時価総額のTOP5に入るメジャーな仮想通貨でもあります。これらの名前も見かけることが増えるかもしれません。2018年も仮想通貨市場の動向には注目しながらお過ごしくださいね。

 


▼取材協力/

ファイナンシャルプランナー 加藤仁美さん

名古屋周辺の企業や住宅展示場、葬儀場などで、お金に関するセミナーや保険の見直し、資産運用などの個別相談を務める。子どものおこづかい教室から相続・贈与までテーマはさまざま。

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