”寺活”のススメ(前編)

法事や観光などで訪れる寺。特別な時だけでなく、もっと身近に親しんでみませんか?今回は、仏事だけではない「寺の取り組み」を前編、後編に分けて2軒ずつ紹介します。

 

天白区・徳林寺 「洋服交換市」

天白区の相生山にある「徳林寺」は、3代続く禅寺。境内には農園やカフェなどがあり、朝市も開催されています。現在の住職が雨水タンク、ソーラーパネルなど環境に配慮した設備を整えたことから、自然な生き方に関心のある人が集まるようになりました。一つの村のようなコミュニティの中で、さまざまな催しが行われています。

今回は、徳林寺で初めての開催となる「洋服交換市」を取材。洋服交換市とは「着ないけど捨てるにはもったいない」「似合わないけど、新品で捨てられない」とたんすの肥やしになっている服やかばん、靴などを持ち寄り、持ってきた人と会話しながら好きな洋服を持ち帰るイベントです。

「ここならいつも選ばない色にチャレンジしてくれる」と話すのは、洋服交換市の発起人でカラーコーディネーターの谷田留美絵(写真中央)さん。豊橋市在住の谷田さんは、1年ほど前から三河を中心に交換市を開催していました。始めたきっかけは、パーソナルカラー診断をした方の「洋服のラインアップを変えたい」という声から。「みんな自分に似合う色が分かると、今まで持っていた服を替えたくなるんです。だったら診断を受けた人同士で集まって交換会を、と思い付いて」と谷田さん。会場では、谷田さんのアドバイスを求めて、服の着こなしや似合う色についての質問が飛び交っていました。

「小さい子どもがいて買い物に行きづらいお母さんも、ここならゆっくり選べる」と話すのは、主催の更谷恵美さん。子どもたちは好きな物を手にして会場内を歩き回っていましたが、みんなが子どもの様子を見守っているので安心できます。参加者同士、初対面でも会話が弾み、自然と交流の場に。洋服を交換するだけじゃない「つながり」が生まれていました。次回の交換市の日程は未定ですが、今後も定期的に続けていくそうです。

徳林寺では、毎月第二土曜日に恒例となった「つながりの朝市」、海外のお話会や醤油づくりなどさまざまなイベントが企画されています。朝市は、徳林寺境内にある保育園のお母さんたちが、東日本大震災をきっかけに「つながりを作りたい」と考え始まったもの。無農薬野菜や手作りの雑貨、お菓子などが並んでいます。次回の朝市は、2月10日(土)に開催。詳しくは、Facebookページをチェックしてみてくださいね。

◆Facebookページ「徳林寺 つながりの朝市」
https://www.facebook.com/%E5%BE%B3%E6%9E%97%E5%AF%BA-%E3%81%A4%E3%81%AA%E3%81%8C%E3%82%8A%E3%81%AE%E6%9C%9D%E5%B8%82-224719414358010/

 

 

平田寺 「つながるかもすプロジェクト」

北名古屋市にある「平田寺」(へいでんじ)は、1300年台から続く曹洞宗の寺。後継ぎ不在で長い間空き寺になっていましたが、現在の住職である長谷川史道(しどう)さんがご縁を感じ、この寺に入られたのが2007年のことでした。

その後、仏事だけでなくさまざまな人が来てくれるコミュニティの場にしたいと考え、第二日曜日に「恩田の集い」を始めました。「恩田」とは「恩恵を生み出す源」という仏教用語。自分を支えているものに気付き、感謝し、次に手渡す流れが生まれることを願い住職が命名しました。

2012年からはマルシェも同時開催。最初は、住職の奥さんの裕美子さんが近所の人に声をかけ物々交換のように行っていましたが、外部からも出店希望の声が届くようになり規模が拡大。自然栽培に興味を持つ若者たちと出合い、協働で運営を続けています。

裕美子さんは並行して、発酵料理人の古澤久美さんと東北の被災地に味噌や梅干しを届ける「つながるかもすプロジェクト」を行っています。「普通のお母さんが思いを届けるような感じ」と笑顔で話す裕美子さん。震災を忘れないために何ができるかを考え、被災地の人を招きお話会も開催しました。

2月11日(日)に開催される恩田の集いでは、つながるかもすプロジェクトの一環で「みそ仕込みと樽開き」が行われます。臼と杵で大豆を潰し、こうじと混ぜ合わせて木樽に仕込みます。材料は、長野県田中麹店の生こうじ、無農薬無肥料栽培大豆、国産天然塩、福島県の酒蔵仁井田本家の日本酒の酒粕とこだわりのものばかり。仕込んだみそは、自宅に持ち帰ることもできますが、そのまま1年間平田寺で保管することも可能。昨年仕込んだみそを樽開きしてみそ汁を頂きます。当日は、こども食堂も開催されているので、おいしいみそ汁と一緒に昼食を食べることもできますよ。

「来た人が思いを共有し、持ち帰って暮らしに役立てる。ここには、お金のやりとり以外で得るものがある」と裕美子さんは語ります。みんなで一から作るみその味や経験は忘れられないものになりそうです。年に一度の平田寺のみそ仕込み、そして恩田の集いに参加してみませんか。

 

◆Facebookページ「手作りの寺子屋 平田寺でみそ仕込み&みそ樽開き」
詳細、参加申し込みはこちら
https://www.facebook.com/events/1858842990854755/

Facebook以外の申し込みや問い合わせは、平田寺まで
TEL 0568-48-6806

 

◆平田寺・恩寺の集いについてはこちら

●平田寺ブログ「てらてら通信」

http://heidenji.blog.jp/

※2018年からマルシェは2月、4月、7月、10月の年4回の開催になりました。恩田の集いは、毎月開催。

 


 

2/1(木)配信の後編では、中区新栄の久遠寺「お灸教室と寺ヨガ」、中村区烏森の願隆寺「お香講座と精進モーニング」を紹介します。お楽しみに!