晴れ の日は「干し野菜づくり」

晴れの日が増え、程よく冷たい風が吹く春先は、干し野菜をつくるのにぴったりな季節。栄養価が増すだけでなく、調理が楽になる! 干し野菜づくりのコツをご紹介します。



|環境にも健康にも優しい

食品の保存法の一つで、水分を飛ばして乾燥させる「干す」という行為。昔からある暮らしの知恵です。夏に収穫した野菜を乾燥して保存、野菜の少ない冬場に食べていたというわけ。その干し野菜の良さが見直され、近年は専門書も発売されるなど注目されています。

 

定期的に開催される干し野菜教室で講師を務めている「にんじん CLUB」の栄養士、武部孝子さんに、干し野菜の作り方のコツや栄養価について話を聞きました。

 

【干し野菜のここがいい!5 つの理由】

  1. 水分が抜けて栄養価が高まる
  2. 調理時間を短縮できる
  3. 食材の甘味が増し、調味料の量が減る
  4. 余った野菜は干して保存
  5. 梅雨の時期を除けば年中楽しめる

 

「日差しを浴び温められることにより、野菜に含まれる酵素の一つのアミラーゼが活性化。これによりでんぷんの分解が進みます。そこでブドウ糖や麦芽糖がつくられ、甘味が増す。身がしまって、歯ざわりがよく、おいしく感じますよ」と武部さん。これに加え、調理時間の短縮や調味料の量が減ることのメリットも大きいと話します。

 

「働く女性が増えている現代だからこそ、手早く栄養価が高い料理を作りたいと思っている人は多いはず。あらかじめ切って干して保存しておけば便利ですね。レンコンなども水分がぬけると調理時間は短くなります。甘みも増すので調味料も減る。健康にも環境にもいいことづくめ。ぜひチャレンジしてみてください」


風通しの良さと湿度を管理

干し野菜は、市販で売られているような完全に乾燥したものだけでなく、1 日程度乾かした「ミニドライ」タイプもあります。干す時に気を付けるといいポイントをまとめます。

 

☑風の通りがいい場所を選ぶ
☑湿度が高くならないように管理
☑野菜を重ねて置かない
☑野菜の水気をふき取ってから干す
☑窓際で風通しが良ければ室内干しも可

 

どの野菜を使う場合でも共通するのがこの 5 点。大きめのザルや市販の野菜干しネット(写真のものは 1000 円程度、ネット通販で売られています)に入れて干すだけ。梅雨の時期以外は夏でも干し野菜はつくることができます。名古屋ではこの時期に黄砂が大量降ることもないので、ベランダなどを利用して屋外で干してみましょう。

 

また、野菜や用途に合わせて干す期間を調整することもポイントです。

 

 

【1 日干しに向いている野菜】
日常的に使う根菜や実野菜
ダイコン、キャベツ、トマト、ニンジン など

[根菜]…ニンジン、ダイコンなど

[実のつく野菜]…トマト、ナス、キュウリなど

[葉物野菜]…キャベツ、白菜など

 

ダイコン、ニンジン、トマトは「グミ」のような硬さになれば完成。キャベツはしんなりしているかが目安です。保存はジッパー付きの袋に入れて冷凍庫へ。1 週間を目安に食べきりましょう。ちなみに、完全に乾いた「ドライトマト」や「切り干し大根」にするにはもっと時間と手間が必要で、家庭では難しいことも多いそうです。

 

【野菜ごとのポイントの一例】

☑トマト…ゼリー状の部分は取って、キッチンペーパーなどで水分を拭きとってから干す。串切りでも輪切りでも、用途に合わせて。

☑キャベツ…ザルにおいてもいいし、洗濯物干しを使ってつるすのも手。電子レンジでチンしたキャベツよりも甘味を感じるので「ロールキャベツ」などにするのもお勧め。

☑ダイコン、ニンジン…用途に合わせて切るか、メニューが決まっていなければ使いやすい大きさに切って干す。ピクルスを作る前のひと手間として干すのもお勧め。

 

【3~4日干して保存するのに向いている野菜】
キノコ類、ダイコンの葉、セロリの葉 など

キノコ類(約 100g程度)は 3 日干すと乾燥します。特にシイタケはお勧めです。ジッパー付きの袋に入れて乾燥剤を入れておけば半年程度は保管できます。また、葉物は乾燥したら手で細かくして、塩やちりめんを加えてふりかけをつくることもできます。

春から夏にかけてはさまざまな野菜が出回ります。旬の野菜は生でそのまま食べるのはもちろんですが、使いきれなかった場合は干して保存。野菜を並べたりするのは親子で一緒に取り組んでも楽しいもの。

天気予報を見て「1 日晴れ」という日のお出かけ前に、お手軽「干し野菜」をぜひ試してみませんか?

 

 


●取材協力/にんじん CLUB

無農薬野菜の宅配事業やレストランを展開する「にんじん CLUB」。武部さんが講師を担当する干し野菜教室「太陽野菜教室」は、にんじん CLUB が取り扱う旬の野菜を使って行われます。

場所は緑区大高の南生協病院にある調理室。参加費は 1 人 800 円。次回は 4 月 28 日(金)を予定。

詳しくはお問い合わせください。

0568-71-4114(10:00~17:00)

https://www.ninjinclub.co.jp/