”赤”で描くふるさとの原風景 画家・斎藤吾朗さん

朝夕が涼しく感じるようになりました。秋といえば、読書の秋や食欲の秋、芸術の秋などいろいろありますね。

今回、注目したいのは、西尾市在住の画家・斎藤吾朗さん。三河の赤土や夕日、火祭りの炎を象徴する〝赤〟の色使いと独特のタッチで、ふるさとの原風景を描き続けています。若き日に、日本人として初めてフランスのルーヴル美術館から公認を受け、ダ・ヴィンチの名作『モナリザ』を模写したことがその原点。ふるさとを愛してやまない斎藤さんの魅力に迫り、9月21日にスタートする「斎藤吾朗 水彩画展/加藤好康 作陶展」を紹介します。

 

ふるさとの色“赤”に魅了

地元の情景や身近な人たちをモチーフに、赤を基調とした独特なタッチで作品を創る斎藤さん。なぜ、赤い絵が多いのでしょう?

それは、斎藤さんが26歳で単身渡仏した時の経験から。大地は黒土で、冬になると午後3時には日が落ちてしまうというフランス。暗いイメージが強かったフランスを発ち、西尾に帰ってきた斎藤さんの目に飛び込んできたのが、真っ赤な夕日や赤土、火祭りでした。斎藤さんは「それを伝えていく地域の人の命の色である〝赤〟を使って絵を描く」と決心したのです。

 

モナリザが原点


斎藤さんの『モナリザ』公認模写作品

ふるさとの原風景を描くことを決意した斎藤さん。フランスでモナリザと運命的な出会いがあったことも大きく影響しているとか。

日本で待っている母親のために有名な絵を持って帰りたいと思った斎藤さんは、アポなしでルーヴル美術館へ。モナリザの模写ができるように一生懸命頼み続けたところ、ついに、館公認でモナリザの模写ができることに。

斎藤さんがモナリザを模写していたときに思ったのは、モナリザに描かれているのは、ダ・ヴィンチの母親であり、ふるさと。「それを描けばいい。そんな風に言われたような気がしましたね」。

 

西尾の作家・加藤さんと展覧会


『フィンランド トゥルク大聖堂』(水彩)1993年、斎藤吾朗

 


『遊高台 CUP』2019年、加藤好康

国内外で活躍している斎藤さん。地元西尾での展覧会を定期的に開催しています。

9月21日(土)から29日(日)までは、斎藤吾朗アトリエ(西尾市)で、「斎藤吾朗 水彩画展」を開催。西尾出身の作家・加藤好康さんによる作陶展も同時開催します。

「今回は水彩画を中心とした展示となり、いつもの油彩・版画とは違った雰囲気の作品をお楽しみいただけると思います。油彩・版画の展示も一部ございます。」と見どころを語ってくれた斎藤さん。「同時開催の加藤好康作陶展では、若い感性の作品が並びます。どうぞ皆様お誘い合わせの上ご高覧下さい。」と来訪を呼び掛けています。

 

 

■斎藤吾朗

<プロフィール>

画家。1947年西尾市生まれ。多摩美術大学大学院美術研究科修了。西尾高校の美術講師を経て、73年単身渡仏。ルーヴル美術館で日本人として初めてモナリザを公認模写。74年モナリザを携えて帰国し、時の人に。地元をテーマに独特のタッチで作品を手掛ける。独立美術協会会員。日本美術家連盟東海地区代表。


■加藤好康

<プロフィール>

作家。1985年西尾市生まれ。倉敷芸術科学大学工芸デザイン科卒業。2014年、多治見市陶磁器意匠研究所修了。現在、西尾市にて制作。高岡クラフト展入選。伊丹国際クラフト展酒器入選。テーブルウェアフェスティバル佳作賞。


▼斎藤吾朗 水彩画展/加藤好康 作陶展

・開催日/9月21日(土)~29日(日)
・時間/10:00~17:00
・会場/斎藤吾朗アトリエ(悠創館)(西尾市伊藤4-8-31)
・入場料/無料
・作家在廊/
斎藤吾朗(期間中は在廊)
加藤好康(9月21日(土)、9月22日(日)、9月29日(日)終日)

問合せ
TEL/FAX 0563-54-9040
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