どう生きるか? 映画『山中静夫氏の尊厳死』3/21~名演小劇場ほか

もしあなたが余命3カ月と宣告されたらどうしますか?信州を舞台に最期まで自分らしく生き抜く意味を希望とともに描いた映画『山中静夫氏の尊厳死』を見れば、その答えが見つかるのではないでしょうか。

原作は、『ダイヤモンドダスト』で芥川賞を受賞し、寺尾聰主演で映画化された『阿弥陀堂だより』でも知られる、現役医師の南木佳士(なぎ・けいし)の同名小説。末期がん患者を歌舞伎や舞台で活躍する中村梅雀、自らも心を病む医師を唯一無二の存在感を放つ津田寛治が演じています。今回は、映画の脚本・監督を担当した村橋明郎監督に、映画化しようと思った経緯、見どころなどについて話を聞きました。

 

映画化したい!


村橋明郎監督

村橋監督は、1978年日本大学芸術学部映画学科卒業後、フリー助監督を経て、脚本家・監督として活躍中。原作小説は出版されて間もない1994年に読み、すぐに映画化したいと考えたという村橋監督。20年ほど前に自分の父親が山中静夫と同じ肺がんで亡くなり、自分も60歳を過ぎて「今なら書ける」と思い、数週間で一気に書きました。「故郷に帰って自分のお墓を造るのはビジュアル的に面白い。そうやって楽に死にたいと望むことはある種、現代人の理想形」と考えたそうです。ちなみに「僕のふるさとは関市ですけど、ふるさとに自分でお墓は造りませんよ。海への散骨でも何でも良いと思っています(笑)」

 

「どう生きるか」描く


映画の撮影風景


浅間山のある風景

「どう死んでいくかがテーマの映画ではないんです。限りある時間をどう生きるかを描きたかった」と強調する村橋監督。中村さんは死に向かってだんだんきれいになっていき、津田さんは心を病んでやせていく。あえて対比させている。「あんな理想的な医者はいない。山中静夫は素晴らしい医者と巡り合えたんではないかな」と熱く語ってくれました。

浅間山など実景は時間がある限り撮影したとのこと。最もこだわったのは、病室。窓から浅間山の見える場所がなく、市役所庁舎の中にロケセットを造り、撮影しました。「撮影中は食べっぱなし。おいしいものはいっぱいあるし、人は良いし、ここに住んでもいいかなと思いましたね」と佐久市にぞっこんの様子。

主題歌は小椋佳さんの作詞・作曲による『老いの願い』。キャスティングにも恵まれました。一番うれしかった言葉は、映画を見終わった中村さんからの一言。「これからもっと一生懸命生きようと思った」

 

▼『山中静夫氏の尊厳死』について詳しくはこちら
https://songenshi-movie.com/

 

▼『山中静夫氏の尊厳死』の上映について

名演小劇場
場所/名古屋市東区東桜2-23-7
TEL/ 052-931-1701
http://meien.movie.coocan.jp/

岐阜CINEX
場所/岐阜市日ノ出町2-20
TEL/058-264-7151
http://www.tochiko.co.jp/index.html

 

▼村橋明郎(むらはし・あきお)監督・脚本

<プロフィール>
1954年岐阜県関市生まれ。1978年日本大学芸術学部映画学科卒業。フリー助監督を経て、フジテレビ『オレゴンから愛』で脚本家デビュー。大阪ABC『豆腐屋直次郎の裏の顔』で監督デビュー。以降、映画、テレビドラマ、舞台の脚本家、監督として幅広い作品を手掛けています。劇場公開作品は『CAB』、『しあわせになろうね』『育子からの手紙』『ある取り調べ』など。