田原産サツマイモでつくる 「亀若焼酎」

「地域振興につなげたい!」と、田原市田原町藤七原亀若地区のまちづくり組織、亀若倶楽部は7年前からサツマイモを自ら育て、「亀若焼酎」にして販売しています。女性を中心に「フルーティーですっきり飲みやすい」と人気を博しています。

 

田原・亀若でサツマイモづくり


亀若倶楽部のメンバー


地元の農高生もサツマイモの栽培に協力

田原市は、豊川用水が通水する以前、大きな河川がなく、日照りが続くと干害に見舞われるほど痩せた土地が広がっており、農業には不向きといわれたところでした。そんな土地で主に生産されたのは、米・麦・サツマイモなど。中でもサツマイモは、田原の温暖な気候に合い、大量の水も必要ではないことから、よく育ちました。そして、田原市はサツマイモの一大産地「甘藷(かんしょ)の国」と呼ばれるまでになりました。しかしながら、1968年、田原に豊川用水が通ってからは、キャベツやブロッコリーなどが栽培される農業王国に。サツマイモの生産は減っていくばかりでした。

田原市田原町の藤七原地内にある酒の神様、松尾社に手づくりの酒を奉納しようと、地区の有志でつくる「亀若倶楽部」が2011年に発足。昔ながらの芋文化を見直し、芋焼酎をつくろうと考えました。豊橋技術科学大学の指導の下、蔵王山麓の区所有地を土壌改良した上で、豊橋市の種苗会社から無菌状態の苗を調達し、化学肥料や除草剤を使用せずに、焼き芋など食用のサツマイモ「紅あずま」を栽培。中央・南アルプスに囲まれた長野県飯田市の喜久水酒造に酒造りを委託しました。

 

甘い香りで女性向き


女性に大人気の「亀若花」


セントレア名賓館で販売

太陽の光と潮風を浴びながら育った「紅あずま」。できあがるまでの5カ月間は、雑草をむしったり、小さな耕運機で草を刈ったりと、手作業が欠かせません。市内の農業高校の生徒や先生、主婦など大勢の人の協力がなければ育たないものでした。

 

晴れて2013年に出来上がった「亀若焼酎」。ラベルには、亀や鶴、しめ縄がデザインされ、「いつまでも若々しく」という意味が込められました。発売当初は、地元のみの限定販売でした。香りと甘みが強く飲みやすい亀若は、女性を中心として瞬く間に大人気商品となり、田原市内の酒販店などで完売が続出。翌年以降は、他市とコラボして、伊万里焼、美濃焼、瀬戸焼、常滑焼の壺入りの亀若を発売。愛知県としてのブランド力を高めていきました。

 

一昨年11月には、オール地元にこだわった「亀若花」が誕生しました。亀若花には、田原産のサツマイモ「紅はるか」、田原産の麹米「コシヒカリ」でできた麹を使用。矢作水系の水で割り込み、愛知県を代表する相生ユニビオがその発酵技術を生かして製造しました。また、田原市では花の生産が盛んなことからパッケージを花柄に。アルコール度数は20度と飲みやすく、女性に好まれるように仕上げました。

 

亀若ブランドで地域振興を


原薗事務局長

2020年には、市内の渥美農業高校生と共に、亀若製造後に出てくる焼酎かすを黒豚の飼料に有効活用する取り組みをスタート。近い将来、「亀若」の焼酎かすを使った黒豚がブランド商品として世に出てくるかもしれません。

同倶楽部の原薗義秀事務局長は「大勢の人がイモづくりに携わり、田原産のイモや焼酎が国内外に広まることで、地域の活性化につながればと考えております。今後も、無農薬・有機栽培にこだわり、安全安心な焼酎を届けていきたい。古窯の伝統を受け継ぎながら、いろいろなところとコラボを進め、亀若ブランドを通して愛知をさらに有名にしていきたい」と熱く語っていました。

▼亀若

問い合わせ/田原物産センター(田原市田原町巴江3-1)
TEL/0531-36-5188