ページ上の写真は田んぼです。卵なのに田んぼ?と思われた人もいるでしょう。今日のストーリーは、田んぼを守るから「米たまご」と名付けられた卵をつくる養鶏場のお話。資源を循環させ、おいしく食べて、健康にも配慮、とってもエコな卵なのです。
|卵直売、洋菓子・加工品がいっぱい
「あいちの米たまご」をつくるのは、常滑市にある卵・養鶏場のデイリーファーム。90年前から鶏卵業を営み、現在は獣医師でもある市田真新社長が中心となって運営しています。
約20万羽の鶏を飼育し、1日12~13万個の卵を生協やスーパーなどに出荷。とれたての卵やプリン、カステラ、シュークリームなどこだわりの卵スイーツを販売する拠点として、国道247号沿いの田畑に囲まれたのどかな場所に「ココテラス」を構えています。伊勢湾を見渡せるテラスでドリンクと一緒に味わうこともできます。
約2年前、卵づくりへのこだわりをもっと広く知ってほしいとの願いからショップを立ち上げ。知多方面へのドライブがてらに立ち寄る人が後を絶ちません。
|卵は“生命のカプセル”、だからこそ
米たまごの取り組みは9年前から始まり、デイリーファームでは大きく2つのこだわりを持って卵生産に取り組んでいます。1つ目がnon-GMO(遺伝子組み換えをしていない作物)の穀物にすること、そしてもう1つが、地元の休耕田などで栽培された飼料米を使うことです。
卵を産むニワトリは、トウモロコシや大豆などの穀物を食べて成長し卵を産みます。おいしい卵には、いい穀物・飼料が必要な訳です。日本の多くの畜産業・農家は、生産コストを抑えるために、穀物の多くを海外からの輸入に頼っています。遺伝子組み換えによって栽培された海外産の穀物が、日本で飼料として多く使われているといわれています。
「将来、世界の人口は90億人になるともいわれている。輸入先や中国やインドなどで消費が増えれば、穀物原価が高騰、日本では手に入らなくなるという懸念も。卵は〝生命のカプセル″と呼べるほど、高たんぱくで栄養豊富。コストはかかるけれど、資源をこの地域で循環させる仕組みをつくり、体にいい卵を供給できる、持続可能な養鶏のあり方を実現させたいと考えました」と市田さん。
|鶏フンを堆肥に飼料米が育つ
「10 個入りパックを1 年間、毎週利用すると知多地域の田んぼ4坪が守れます」と市田さん。「あいちの米たまご」が日本の農業を元気にする理由、それは地域の資源循環に大きな役割を果たしていることにあります。
【あいちの米たまご 循環のイメージ】
日本でのコメの消費量は年々減少。農家はコメの作付けを辞め、休耕田が増えています。作物を植え付けられなくなった田畑はやがて荒れたただの空き地と化してしまいます。
あいちの米たまごに欠かせない飼料米は、鶏舎で毎日出る鶏フンを発酵させた堆肥を使い、常滑や東浦町、稲沢など県内数か所の契約農家で育てられたもの。11月ごろに1年分を収穫し、倉庫に保管しています。
「約1kg分の卵(1.5パック分相当)を産むには、約3kg分の飼料が必要。配合率は10%ほどです。飼料米の田んぼはできるだけ自然に近い状態で育てているため雑草もまぎれています。管理は大変ですが、田んぼが守られると、多様な生態系も守られ、環境保全にもつながる。稲作農家と畜産農家が協働して取り組むから実現したのがこの米たまごなんですよ」(市田さん)
デイリーファームの卵は、ココテラスのほか、名古屋市内では、コープあいちのショップ(上社・小幡・本山など)、イオンモールナゴヤドーム店、ヤマナカフランテなどで購入できます。
卵がこんなに奥深いなんて! まずはドライブがてらココテラスへ出かけてみて。
▼取材協力/デイリーファーム
SHOP/とれたてたまごの店 ココテラス
常滑市大谷芦狭間249-1
TEL 0569-36-7060
10:00~17:00、木曜・第1・第3水曜休み
たまごいっぱいプリン180円、たまごたっぷりカステラ(一斤)1,100円、たまご「明日」10個入りパック370円(飼料に10%飼料米を配合)、いずれも規格外のお値打ち卵も販売