お盆のお墓参りに欠かせない線香ですが、改めて作法や意味、香りの種類について考える機会は少ないのでは。そこで、中村区のお香・線香・香木の専門店「香源」の店長・林祐子さんに線香の作法や選び方、日常での活用法を聞きました。最新のお香の紹介も。
|ご先祖様との通信手段
お香の文化が日本に伝来したのは古墳・飛鳥時代。当時は仏への礼拝に「香」が用いられており、沈香(じんこう)などの香木などを細かく刻んだ物を単体でたいていたと考えられています。
奈良・平安時代になると、調合の技術が伝わりました。仏前でたくお香も、いくつかの香りを組み合わせて用いられるようになり、香りを楽しむ練香や匂い袋が、貴族や公家など身分の高い人たちの間で広まりました。線香の始まりは、江戸時代。簡単にたけることから一気に普及し、現代まで受け継がれています。
「線香をあげる行為は、先祖のいる世界との通信手段だと考えます。命のつながりを意識し、感謝の気持ちを持って手を合わせることが大切です」と林さんは話します。墓参りや通勤・通学、食事の前に線香をあげる習慣は、先祖とつながっている時間だと思うとありがたさが増します。
仏教と深く結びつきがある線香は、宗派やお世話になっている寺院によってそれぞれの作法がありますが、香炉に3本立てるのが基本です。
香源で人気の線香 (右)大香木白檀 2,052円(約380本入り)、(左)沈香がベースの、聚香國(しゅうこうこく) 6,480円(約450本入り)
線香の香りは、好みに合わせて選ぶのが一番。「人によって香りの感じ方はさまざま。例えば、一般的に気持ちが安らぐといわれるラベンダーも中には脳が興奮状態になる人がいます。自分が好きだと感じる香りの種類を見つけてくださいね」
|日常から香りに親しむ
「線香」は仏事で使う物、「お香」は部屋で楽しむ物という印象がありますが同じ成分で、線香は形状の名称です。香源は、線香に親しみを持ってもらうために、「お香」という表現に変えた先駆け的存在です。
仏事で使う線香を、自分の好きなお香として日常生活に取り入れて使う人も多いですが、リビング、トイレ、玄関、階段の踊り場など場所ごとに香りの種類を変えてみては。林さんのお勧めは浴室。「半身浴しながらお香をたくとリラックスできますよ」
また、社内の会議に使う人も多いのだとか。「頭をスッキリさせたいならヒノキの香りが合いますね。たき始めて30分でお香が消えたら会議終了にするなど、気持ちと時間のメリハリをつけるのに香りは効果的です」
|ギフトにもお勧めのお香
最後に、5000種類のお香を揃える専門店ならではの変わり種をいくつか紹介。
伝統的な香りからモダンな香りまで9種類揃う
これは、ひも状のお香「美香」(1,080円)。香炉や灰は不要で、付属の不燃マットとストッパーを使って手軽に楽しむことができます。ストッパーの位置で火が消えるので、8cmほどの長さを使うと燃焼時間は約5分。贈り物に結んで、香りを一緒にプレゼントすることもできます。
香りによって、マッチの擦る部分の色が異なります
次は、マッチの軸部分がお香になった「hibi」(702円)。マッチを擦るように火を付け、そのまま付属の不燃マットの上でたきます。パッケージもシンプルでオシャレ。お香に馴染みの少ない人も親しみやすいのでは。
祖父母の代から通う人が多い老舗ですが、最近では来店者の幅が広がっているそう。「寺ガールや歴女など、さまざまな入口からお香に興味を持つ人が増えています。匂い袋や線香を作る手作りお香講座も開催しているので、気軽に参加してほしいです」
日常で当たり前になっている線香も、香りを変えるだけで親しみ方が変わりそうです。日本で古くから続く文化を日常に取り入れながら、お盆やお彼岸など、先祖へ感謝の気持ちを届けるべく線香をあげてはいかがでしょうか。
▼取材協力/香源
場所/名古屋市中村区大秋町4-47
営業時間/9:17~18:17
定休日/年末年始
TEL/052-486-1888
https://kohcafe.net/
オンラインショップ
https://www.kohgen.com/
8月のNAT’sのプレゼントは、香源オリジナル「お香20種セット」です。応募は、8月31日(金)まで。こちらもぜひチェックしてくださいね!
>>>https://nats.nagoya/?p=2146