“奇跡のハーブ” マンジェリコン

愛知県西尾市の名産品といえば、ウナギと抹茶。ウナギの産地は市南部の一色町にあります。その一色町でつくられる、ウナギ以外の作物が近年脚光を浴びています。その名も「マンジェリコン」。生産・販売に携わる苗生産農園TAKASUの高須昇さんに詳しく話を聞きました。

 

南米原産、シソ科のバジルの仲間

マンジェリコンとは、ポルトガル語で「バジル」の意味。シソ科のバジルの仲間といわれています。葉には少し産毛があり、見た目がミントに似ているこの野草。現在日本では、沖縄県に自生しています。今から100年以上前、沖縄出身の移民者がブラジルへ渡り、マンジェリコンの苗を持ち帰って以来、沖縄に自生することになったといわれているとか。

 

少し見た目が違う2つの野草(写真上)。人によっては、葉の大きなほうをマンジェリコンと呼び、もう一方をポルトジンユと呼ぶ場合もあるそうです。しかし、ある大学の研究で遺伝子レベルの分析をした結果、どちらも同じ属の植物ということが分かっています。

「マンジェリコンは沖縄のおじぃ、おばぁが煎じて飲んでいたもの。かつて長寿の国ともいわれた沖縄で親しまれてきたこの野草は、ドクダミのような存在だったと考えられます。宮古島に住む知人に紹介してもらい、2015年からハウス栽培を始めました。ところが、マンジェリコンは知られていない植物なのであまり売れず・・・(苦笑)。煎じて飲めるよう、お茶に加工して販売することにしました」(高須さん)

 

カリウム、カルシウム豊富

マンジェリコンがどうして注目されるのか、その理由は含有成分にあります。茶葉の状態の緑茶(煎茶)と比べて、マンジェリコンにはカルシウム、カリウム、マグネシウムなどが豊富に含まれていることが分かっています。
※2015食品成分表(煎茶)、食品分析センター分析結果(マンジェリコン茶)より

2017年のある学会で、マンジェリコンの抽出分が、脂肪細胞を細分化し、アディポネクチンというホルモンの分泌活性が細胞レベルの実験で確認されたという研究結果を、抗糖尿作用の研究をしている大学の研究チームが発表。

「このホルモンが分泌活性化することで、インスリンの効きがよくなり、2型糖尿病(生活習慣病)の改善が期待されるようです。高血圧の人にも効果が期待できるそうですよ。まだ研究段階ですが、これらのことから“奇跡のハーブ”とも呼ばれています」(高須さん)

 

ウナギ養殖場に囲まれて

マンジェリコンを栽培する高須昇さんの農園は、一色町の、ウナギ養殖場ばかりが立ち並ぶエリアの一角にあります。稚魚の高騰で経営が厳しくなっているところが多く、廃業を余儀なくされたり、大手に経営をゆだねたりと、周囲の環境が変わりつつあります。

高須さんの農園も元々はウナギ養殖場。池だった場所を埋め立て、工事用廃材を有効活用して建てられたエコな栽培用ビニールハウスです。現在は、フィカスプミラやハツユキカズラなど、ガーデニングをする人にはお馴染みの植物をはじめ、ツル性のパッションフルーツや、タイ料理に欠かせないハーブ「こぶみかん」なども生産。マンジェリコンの栽培は全体の5%程度です。

農園を始める前は、家電メーカーで農業用のファンの製造・販売に関わる仕事をしていました。農園開設から20年以上たった今も、高須さんが手掛けたファンは現役です。

「経営のことを考え、ちょっと変わった植物の苗ものを扱っています。マンジェリコンもちょっと変わったもの、ですね(笑)。お茶の販売は6次産業として取り組んでいます。最近は、アメリカのシリコンバレーなど海外から注文が入ったりと、少しずつ認知度は上がってきているように感じますよ」。

 

とにかく苦い、まずい…

「あぁ~…まずい、でいいんですよ、本当に苦いですから」と、試飲する記者を横目に笑いながら話す高須さん。マンジェリコン茶は、香りはきつくないのに、飲むと後から苦みがやってきます。

TAKASUで販売するのは、ティーバッグタイプの「マンジェリコン茶」、中挽きコーヒーにマンジェリコンパウダーをブレンドした「マンジェリコンコーヒー」、マンジェリコンの苗の3種。

マンジェリコンは観葉植物と同じように育てることができる植物です。名古屋市内の園芸店や日用品店で常時販売しているところはありませんが、TAKASUホームページから購入することができます。

「苦いけど健康にいいらしい」と噂のマンジェリコン。まずは一度試してみませんか?

 

※カリウム摂取量の制限がある人、妊娠中の人はお控えください。

 


▼取材協力/TAKASU

http://www.takasu-greenhouse.com/

 


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