「種子(たね)だれのもの?」というテーマで映画の上映会やイベントを行う「第4回 なごや国際オーガニック映画祭」が来月開催されます。実行委員の2人に、今年の見どころや注目のイベントを聞きました。NO seeds, NO life⁉
|暮らしを“オーガニック”に…
なごや国際オーガニック映画祭は、「暮らしのなかのオーガニック」をテーマに、映像を通じて、生態系や環境の保全、持続可能な社会の実現を考えてほしいと企画されています。東京で行われていた「国際有機農業映画祭」が2010年以降全国に波及、名古屋では2年に1度開かれ今年で4回目です。
上映作品は、イベント実行委員が事前に見て、持ち寄り、いろいろな議論を重ねてセレクト。さらに分かりやすく、専門家による解説を行います。
実行委員は、有機農業の農家や大学教授、今回見どころを教えてくれた、フェアトレード商品を販売する「風’s」(ふうず・東区東片端)代表の土井ゆきこさん、オーガニックフラワーなどを取り扱う花屋「種から根っこと葉っぱ」(中区栄)の内山早智子さんらで構成されています。
「生物多様性、遺伝子組み換え、化学物質による健康への影響、そして今回の『種子』をめぐる問題など、少し難しいと思われがちだけど、身近な問題なんだと気が付いて、興味を持ってくれる人を一人でも増やしたいと始めました。本を読むより、映像で見たほうが分かりやすい。ぜひ若い人に見てほしいですね」(左・土井さん)
「体を悪くしてから、化学物質が影響していたのかな? 農薬のせいかな?と考え始める人もいますが、そうなる前に知るすべがあるはずなんですね。それがこの映画祭だと思います。人間が有機的な暮らしを送るためのスイッチになってくれたらと思っています」(右・内山さん)
|映画6本、ミツバチがテーマの作品も
今年は上映作品が6本。「種子」をテーマの中心としたもの他4本と、ミツバチをテーマにしたものが1本、インドの環境活動家のヴァンダナ・シヴァさんが人間も生命の織り物の一部と語るドキュメンタリー1本。
【上映作品】すべて日本語字幕つき
・種子-みんなのもの?それとも企業の所有物?
(制作:Radio Mundo Real/2017/スペイン/39分)
・未来の収穫
(監督:マリー=モニク・ロバン/2012/フランス/95分)
・遺伝子組み換えルーレット
―私たちの生命のギャンブル―
(監督:ジェフリー・M・スミス/2012/アメリカ/85分)
・未来を耕す人びと
(監督:ピエール・フロマンタン、制作:アグサッカド/56分)
・みつばちの大地
(監督:マークス・イムホーフ/2012/ドイツ・オーストリア・スイス/91分)
・ヴァンダナ・シヴァの いのちの種を抱きしめて
with 辻信一
(監督:辻信一/2014/インド/58分)
「種子-みんなのもの?それとも企業の所有物?」は、ラテンアメリカ諸国を舞台としたドキュメンタリー。農家は種子の保管を禁じられ、世界的な企業が買い占め、農家や女性が起点となり反対運動が起こりました。上映後には、この件に詳しい、日本の種子を守る会事務局アドバイザーの印鑰智哉(いんやくともや)さんの解説も行われます。
「日本でもこの春、種子法*が廃止されました。種の自由なしに、人間の自由はないのです。2018年の映画祭ではこの件を背景に、『種子』をテーマとしました」(土井さん)
*種子法―1952年制定。戦後の食糧難を背景に、コメや大豆などの優良な種子の生産管理と安定供給を都道府県に義務付けた法律。
|精進マートと同時開催
今回の映画祭は、上映会以外に、有機農業の就農や土づくり・堆肥づくりの相談コーナー、さらには、「映画祭オーガニックマート」として、フェアトレードや有機栽培などに配慮した商品を取り扱うショップが30ブースほど並び、お買い物も楽しめます。
また、同日には「精進マート」(動物由来の物を使用しない食品や素材が並ぶマルシェ)が同時開催されます。
私たちが当たり前のように食べるもの、身に付けるものなど、多くのものは「種」が起源。種子・大地・水・空気などは地球上の生きものの共有財産。その事に気付くきっかけづくりにまずは映画祭へ。お買い物と一緒に楽しみましょう。
▼なごや国際オーガニック映画祭
日時/12月16日(日)10:00~18:00
会場/東別院会館(中区橘2-8-45) 3Fホール、境内、会議室
入場券/
・前売り2,000円(チケットぴあ Pコード 559014)
・当日 2,300円、学生 1,500円
※6本通し券、高校生以下無料
問合せ/同イベント実行委員会
nicfoa@gmail.com
090-9902-0272(内山)