多治見を「もみじ」で世界一の街に ~もみじかえで研究所~

秋、真っ盛り。明日からの連休で紅葉狩りに出掛ける人も多いのでは。

もみじは目で楽しむだけでなく、食べられるのをご存知ですか?岐阜県多治見市の「もみじかえで研究所」では、自社栽培したもみじ葉を使って、お茶やサイダーとして商品化しています。もみじにはポリフェノールが豊富に含まれ健康効果も期待できるのだとか。代表の本間篤史さんがもみじと出合ったきっかけは、大学時代にさかのぼります。

 

ポリフェノールが豊富なもみじ

東京水産大学在籍時、糖尿病の研究チームに所属していた本間さん。さまざまな天然素材で糖尿病への効果を検証する中、研究所の入口にある大きなヤマモミジを偶然手に取り、成分分析したのが出合いでした。

「海・山問わず、熱帯植物やカマボコまで…ありとあらゆる物を分析していました。もみじを手に取ったのは、素材に飢えていたのかもしれませんね。笑」

もみじがポリフェノールを多く含むと分かり、もみじとカエデの研究に没頭しました。卒業までに、緑茶と同等に含まれるポリフェノールの働きが単糖類を小腸の中で分解・吸収を抑制、血糖値の上昇を防ぐということまでつきとめた本間さん。

学生時代からもみじを使った製品開発での起業を目標にするも、原材料をどこで採集するかが一番の課題。土地を求め、茨城や福島など全国を回りました。多治見市起業支援センターと縁があったのは、2011年。市の援助で、市内の農家の土地を借りることができました。

 

 

耕作放棄地を生かして栽培

農地は、愛知と岐阜の県境からすぐの廿原(つづはら)地区にあります。夏の暑さで有名な多治見ですが、市街地よりも3度ほど気温が低い山あいの土地で、日当たりや水はけが悪く農業に向かない耕作放棄地が山の斜面などにたくさん残っていました。

「もみじは1日に4時間、日が当たれば育つ植物。廿原で使われていない土地をうまく活用することができました。」同地区に事務所を構えたのは2016年。現在は4ヘクタールで約4000本のもみじを植え、年間約150本のペースで増やしています。


収穫間近のオオモミジ

栽培しているのは、日本の固有種であるオオモミジと紅葉スポットでおなじみのイロハモミジ。11月は収穫最盛期。同地区で暮らすパートさんと一緒に、色づいた葉を手で摘み取っています。

 

世界初!もみじ茶・もみじスパークリング

「メイン商品のもみじ茶は、大学時代から作っていたんですが、当時は青臭さが抜けなくて。お茶どころとして知られる岐阜県白川町の長尾製茶さんと出会い、日本茶の製法で作ることで風味の良いお茶が完成しました」。

お茶では珍しくβ-カロテンが豊富。ケールやクレソンなどの青菜に近い含有量です。
※2014食品成分表(ケール、クレソン)、日本食品分析センター分析結果(もみじ茶)参照

 


「もゆるは もみじ茶(赤)」に、乾燥もみじを浮かべて

無農薬のもみじ葉100%のお茶は2種類。「もみじ茶(ロースト)」(ティーパック7個入り、700円)は、ほうじ茶のような風味で飲みやすく、日常使いにもお勧め。レモンなど柑橘果汁を入れると、ほんのり赤く色づきます。「もゆるは もみじ茶(赤)」(ティーパック10個入り、1,500円)。ローズヒップティーに近い味で、ほのかな酸味が効いています。2分ほど浮かべると美しい赤色が。同梱された乾燥もみじを浮かべて、自宅でも紅葉狩り気分を楽しめます。

一瓶にもみじ葉60枚分が入った「もゆるは もみじスパークリング」(200ml、350円)は、着色料不使用ですが発色鮮やか。シャンパングラスに注いで、クリスマスパーティにも。

 

もみじで多治見に恩返しを

「地元の子どもたちと一緒に植樹をしたり、もみじを通して地域活性化の循環も生み出したい。そのためにも、もみじの商品を広めたいです」と本間さん。「起業時に多治見市や廿原地区の皆さんに助けてもらった恩を感じています。もみじの生産地として、そして観光地としても“多治見を世界一のもみじの街”にすることが今後の目標ですね」

多治見の紅葉スポット・虎渓山永保寺でも、もみじ茶やもみじスパークリングは購入可能。また、オンラインショップでも販売しています。食卓にもみじを取り入れて、日本らしい“秋”を味わってみませんか。

 


▼もみじかえで研究所オンラインショップ

http://momijikaede.theshop.jp/