今年の12月7日(金)は大雪(たいせつ)、22日(土)は冬至。何気なく見聞きするこの「二十四節気」は、私たちが自然を感じ、豊かに暮らすヒントとなります。
名古屋駅の南側、ささしまライブ24地区にあるグローバルゲートの屋上庭園「二十四節気ガーデン」は、約150種の植物が節気に合わせて花が咲くようデザインされています。管理する㈱プラネットの金森昭憲さんに暦と植物についての話を聞きました。
|日本人になじみの深い「暦」
二十四節気とは、1年を24個に区分した季節の名称。まず冬至と夏至、春分と秋分が考案され、季節の始まりを指す立春・立夏・立秋・立冬が加わり、さらに細分化され小暑、穀雨など季節の特徴を表す名が付けられました。日本には、奈良時代に中国から伝来。一般的に普及したのは江戸時代といわれています。
立春の時期に「まだ寒いのに春?」と疑問を感じたことはありませんか。二十四節気は太陽の運行を元にしているので、気温の低い二月上旬でも“春の始まり”なのです。日付は毎年異なりますが、節気の間隔が約15日で変化することから、農作業や園芸の目安として活用されています。
|植物から季節の移ろいを感じて
二十四節気ガーデンは、園芸研究家の山田幸子(ゆきこ)先生監修。「咲く花を楽しむだけじゃなく、葉の色の変化や順に枯れていく様子、芽吹く姿など、都心のビル内でも季節の移ろいを感じてもらえたら」と金森さんは話します。
ヤツデ【11月上旬~中旬】
立冬から小雪の時期(取材は11月22日)に花を付ける植物は、葉の大きな切れ込みが特徴的なヤツデ。小さな白い花が球状に集まって、次々と咲いていきます。
ホトトギス【10月上旬】
この花は、ホトトギス。野鳥のホトトギスに柄が似ていることからこの名が付いたそうです。秋分の時期に咲く品種ですが、11月の暖かさの影響でまだ花を付けていました。
これは、何の葉か分かりますか? 答えは、ヒガンバナ。秋に赤い花が咲き、冬に葉を伸ばします。「周りの木が落葉する冬だからこそ、日差しを独占できる。植物の戦略ともいえますね。季節ごとに役割があって分担しながら、自分の子孫を残すために花を咲かしています」。植物同士の関係性が分かるのも、このガーデンの特徴です。
|グローバルゲート内で地産地消
屋上庭園内には、同施設3階にあるオーガニックフレンチ「MEDI(メディー)」の野菜を育てる「MEDI FARM」も。大高菜や方領(ほうりょう)大根など愛知の伝統野菜が栽培されています。「農園の前のベンチは野菜の生育を眺めながら弁当を食べる人気スポットですよ」
ガーデンそばにあるレインボーツリー名古屋内にある「GREENS SQUARE」では、一般の人が利用できるコンテナ菜園サービスを行っています。水耕栽培形式で、種まきの後は水やりを定期的に行い、週に一度タンクを満タンに。5週目以降から収穫できます。(1コンテナ、2カ月3,000円)「仕事帰りや週末のおでかけ時に植物の世話を楽しんでもらっています。いろいろな形で野菜の旬や自然に触れてもらいたいです」
|1年の暦を“1日”だと考える
植物のように、私たちの体も季節によって変化します。「暦を意識することでより季節を感じられて、生活が豊かになりますよ」と金森さん。暦を日常に落とし込むには、どうしたら良いのでしょうか。
「24時間に置き換えて考えると分かりやすいです。冬至は深夜0時。つまり、冬至直前の今の時期は1年の中では真夜中。と考えると、あまり忙しくしない方が良いってわかりますよね」。冬至前後の時期は、1年の振り返りやまとめをするのに最適な時期。慌ただしくなりがちな師走ですが、体調に気を付けてゆったり過ごすのが良さそうです。
暦を間近で感じられる二十四節気ガーデン。年末年始の買い物の合間に立ち寄ってみませんか。
▼二十四節気ガーデン
場所/中村区平池町4 グローバルゲート5階(各線名古屋駅から徒歩約12分)
営業時間/11:00~23:00
●参考文献
『暦でわかる園芸作業』 山田幸子著、主婦の友社