常滑初のワイナリー、待望の初リリース

キレイなサンセットが見られる常滑市の丘の上に、「常滑ワイナリー・ネイバーフッド」が今年オープン。この12月に初めて販売が開始され、地元はもちろん、全国のワイナリーから注目されています。「目指すは、カジュアルにワインを楽しむアメリカ・オレゴンのワイナリー」と話すオーナーの馬場憲之さんに、醸造までの道のり、今後の展開を聞きました。

 

構想8年、ブドウ栽培から醸造まで

「フィルターを変えてろ過してみよう」「やっぱりこの方がいいね、全然色がいいもんね」。取材日(12月12日)、「GO Camp」(品種:カベルネ・ソーヴィニオン、12月下旬発売開始)ワイナリーではびん詰め前のろ過作業真っ最中。完成が目前です。

常滑市初のワイナリー「常滑ワイナリー・ネイバーフッド」は今年、5種のワインをリリース。冷涼な地域で栽培されることが一般的な赤ブドウ用品種「ピノ・ノワール」をはじめ、白ワイン用品種「シャルドネ」、「ピノ・ブラン」を栽培、収穫、醸造し、12月から発売を始めました。

石川県能登産のシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニオンを仕入れての醸造・販売も行われています。

常滑ワイン(左から)

ピノ・ノワール(アルコール度数11.5%)
ピノ・ブラン(アルコール度数13.9%)
シャルドネ(アルコール度数13%)
一番右は「GO Picnic」(石川県能登産のシャルドネ使用、アルコール度数12%)

 

「用地の取得は8年前の2010年。毎年訪れているアメリカの、オレゴン(西海岸北部)にあるワイナリーの景色、そこに集う人々の楽しそうな様子にあこがれて、日本にこんな施設をつくりたいと考えるようになりました。ワインが造りたいというよりも、その雰囲気を再現したいという思いです」

2018年6月ごろ自社農園(同社フェイスブックより)

収穫は今年の8月下旬、醸造免許が下りた9月中旬から醸造開始。どのワインも熟成期間は3カ月ほどと短めですが、それは「カジュアルにワインを楽しむというコンセプトに合わせたから。長期間寝かすワインではないのでスクリューキャップを採用しています。キャンプなどアウトドアシーンも想定していますから、キャップなら飲み残しても持ち帰るのが楽ですよね」

 

イチゴ栽培のノウハウを生かして

2018年8月ごろのシャルドネ(同社フェイスブックより)

ワインづくりに欠かせないブドウ。一般的には植え付けから3年でようやく収穫できるようになります。醸造所そばの畑で、4年前にシャルドネを、翌年からピノ・ノワール、ピノ・ブランの栽培も開始しました。過去にブドウ栽培の経験はありませんでしたが、そこには、8年前から取り組むイチゴ栽培のノウハウが生かされているといいます。

「うちは、常滑市と知多市で観光用のイチゴ農園を経営しています。イチゴはデリケートで、ちょっとした変化にも反応して手入れしなければなりません。イチゴハウス内のさまざまな数値をスタッフが毎時計測し、写真を撮り専用アプリに記録し管理作業に生かします。そうした細かな作業に比べればブドウは比較的管理しやすいという印象です。暑さが増してくる時期の芽かき、間引き(副梢)は大変ですけどね」

気象条件によって、いいブドウが収穫できる年もあれば、そうでない年も今後は出てくるだろうけど、醸造してみないと分からない。「ワインの評価はいろいろだろうけど、おいしいと思ってくれて、もう一度飲みたいと思ってくれる、この雰囲気の中で飲みたいと思ってくれる、そんなファンを増やしていくことが大事かな」

 

ワイナリーレストラン併設

ワイナリーと同じ敷地内にレストラン「サンセットウォーカーヒル」を併設。ワインと一緒にアメリカスタイルの食事を楽しむことができるのも魅力の一つです。

知多半島で飼育される「知多牛」のローストビーフのサラダやビーフシチューをメインにした「ファーマーズランチ」(1,500円~)、コース料理(女子会コース4,000円~)、アラカルトの用意もあります。ワインのテイスティングはレストランで受け付けています。

木の温かみが感じられる屋内でゆっくり楽しむのもいいですが、晴れた暖かな日にはぜひウッドデッキで。太平洋を一望でき、夕方ならキレイなサンセットが見られますよ。

 

気になるワインの味は

ワイン好きな人なら「あのピノ・ノワールが愛知県で、しかも常滑のような温暖な地域で」と驚かれるでしょう。実際、全国から視察に訪れるワイナリー関係者も驚きの反応を見せているといいます。

筆者が飲んだ感想を少し…、醸造期間が短いのでどれもライトな飲み口です。ピノ・ノワールは、一般的なピノ・ノワールの印象とは少し違うと感じるかもしれませんが、鼻をぬける香りが「ピノ・ノワール」を感じさせてくれます。

酸がやや強くキリっとした印象なのは、能登産シャルドネを使った「GO Picnic」。甘めなものを好まれるなら「ピノ・ブラン」がお勧めです。「GO Picnic」よりはまろやかな印象の常滑産シャルドネの白ワインは220本リリースしましたが、残り50本と売れています。

クリスマスの予定がまだという人、ドライブの行先をどこか悩んでいるなんて人、愛知県産ブドウを使った「常滑ワイン」を味わいに出かけてみませんか。

 


▼常滑ワイナリー・ネイバーフッド

ワインの販売は、ワイナリーに併設されたレストランでのみ、ワイナリーの見学は事前に予約が必要。

住所/常滑市金山上白田130
0569-47-9478
http://www.tokonamewinery.jp/

 

常滑ワイン

ピノ・ノワール/ピノ・ブラン/シャルドネ
各750ml入り、3,800円(税別)
GO Picnic、GO Camp 3,500円(税別)