日本の家庭になじみ深い韓国料理「キムチ」。スーパーでさまざまな種類を買うことができます。しかし、キムチを自分で漬ける人はまだまだ少ないのでは。
今回は、中国国籍で朝鮮族の孟(もう)麗華さんが本場のキムチ作りを伝授。日本で手に入る食材で、簡単に作れるレシピです。白菜の旬は過ぎつつありますが、まだ身近で買えるこの時期に自家製キムチに挑戦してみましょう。
|食×国際交流「ノートルモンド名古屋」
キムチ作りを学んだのは、名古屋の街をキャンパスに環境学習の場をつくる「なごや環境大学」の共育講座です。主催は、食と国際交流をテーマに活動する団体「ノートルモンド名古屋」。名古屋で暮らす元・留学生から母国の料理と文化を学ぶ講座を開催しています。
今回の講師の孟さんは、名古屋大学の留学生として17年前に来日。現在は、旦那さんと二人のお子さんの4人家族で名古屋市内に暮らしています。
出身は、中国・吉林省の延辺(えんべん)。ここは朝鮮族が自ら地域を管理する辺辺朝鮮族自治区で、多くの朝鮮族が暮らしています。朝鮮語と中国語が混ざった言葉を使い、食卓では韓国料理に加え、肉まんやギョーザなど中国の伝統料理も並んでいたそうです。
昔は秋になると、白菜100株ほどのキムチを作る「キムジャン」が恒例行事でした。発酵食品のキムチは、冷蔵庫で長期保存可能で、各家庭にキムチ専用の冷蔵庫があるのだとか。「キムチは誰でも簡単に作れます。手作りのキムチは市販の物より味わい深いのでぜひチャレンジしてもらいたいです」。孟さんの家庭で作られているキムチのレシピを紹介します。
|身近な食材で作る自家製キムチ
【材料】
白菜 1株、細ネギ 2束、大根 1/2本
水 2ℓ、塩 100g
★POINT→塩分量は、1ℓの水に対し塩50gが目安です。
【キムチたれ材料】
唐辛子(韓国甘味) 100~150g
★POINT→韓国の唐辛子は辛さの中に甘味があり、キムチに最適。業務用食材を取り扱うスーパーで購入できます。
ニンニク 10粒、ショウガ 1かけ、リンゴor梨 1/2個、
砂糖 大さじ5、ナンプラー 大さじ1、塩 小さじ1~2
★POINT→白菜漬けの塩加減確認し、キムチたれの塩を調整
|下ごしらえは、白菜を塩漬けに
【作り方】
1:白菜は4等分に分ける
★POINT→根部分から包丁を縦方向に1/4まで入れ、残りは手でちぎる
2:白菜の葉の間に一枚ずつ丁寧に塩を入れ込む。特に芯部分はしっかりと。
3:余った塩を全体にふりかけ、水2ℓで白菜漬ける。
★POINT→白菜全体が水に漬かるのがベストですが、大きな容器が無い場合は半分ほど漬けて1時間ごとにひっくり返す
4:3、4時間経って芯がやわらかくなればOK。芯が硬い場合は、やわらかくなるまで一晩ほど漬けておく。
5:白菜の水気をしっかり絞る
|辛いだけじゃない、コクのあるキムチ
キムチの味は「キムチたれ=ヤンニョム」が決め手!たれ作りの工程から、使い捨てのロング手袋(長さ58㎝程度)をはめて作業しましょう。これも100円ショップで購入可能。
【作り方】
1:唐辛子と砂糖をボウルに混ぜ、温水をかける。全体がまとまったら冷ます。(A)
★POINT→お湯を入れることで赤色がさらに鮮やかに
2:ニンニク、ショウガ、皮をむいたリンゴをミキサーですりおろす。(B)
3:大根の皮をむいて千切りにし、塩もみして水分を切る。細ネギは3cmほどの長さでカット。(C)
4:最後にA、B、Cとナンプラーと塩を入れてしっかり混ぜたら、キムチたれの完成。
5:白菜の葉の間、一枚ずつにキムチたれをまんべんなく塗り付けて、まとめる。
たれに漬けてすぐ食べられますが、冬は常温で1日、夏は1、2時間置くと味の染み込んだおいしいキムチになります。たくさん作ってギョーザに入れたり、グラタンにアレンジするのもお薦めです。
|食を通して、異文化を理解
食は異文化を学ぶ大切なツール。母国の料理から、その国の家庭の温かみが伝わってきます。
旦那さんのフランス赴任のため、当時小学生、幼稚園児の子どもたちと約一年半、共に滞在したノートルモンド名古屋代表の出口志穂さん。「私自身が“外国人”だった経験があるからこそ、異国の地での苦労や葛藤がよく分かります。だからこそ日本を訪れている留学生の力になりたいと思えたんです」と話していました。
「料理という文化を共有したい」と笑顔で伝える孟さん。食事を作ることも異文化の理解につながります。簡単でおいしい本場のキムチ、ぜひ作ってみては。
そして、ノートルモンド名古屋の活動は今後も継続予定。さまざまな国の講座があるので、ぜひFacebookページをチェックしてみてくださいね。
https://www.facebook.com/NotreMondeNagoya/