体感!しだみ古墳群ミュージアム 守山区にオープン

名古屋市の北東端に位置する守山区上志段味地区は、市内有数の“古墳の里”。同地区に4月1日オープンした「体感!しだみ古墳群ミュージアム」は、古墳についての展示、埴輪(はにわ)作りなどの古代体験、古代人になりきるコーナーなど歴史と文化を学べる体験型施設です。

また、館外には貴重な古墳と豊かな自然が広がっており、古代の歴史を学びながら、自然の中でリフレッシュできるお勧めの新スポットです。

 

志段味地区に古墳が多い理由

名古屋で最も高い山「東谷山(とうごくさん)」のふもとに位置するこの地区には、市内にある約200基の古墳の内、3分の1にあたる66基が確認されています。なぜ、この地に古墳がたくさん作られたのでしょうか。今から約1,700年前の古墳時代の背景とともに解説します。

 

西暦250年ごろ大王を頂点とするヤマト王権が誕生。王が権力を示すために造られたのが、土を高く盛り上げた墓「古墳」です。ここから約450年に及ぶ「古墳時代」が始まりました。

現在の名古屋市を含む尾張では、庄内川沿いに活躍する王がいました。山と海の分岐点であり、荷物を運ぶ人が多く行き交う志段味の地域を交通拠点として整備。そのおかげで、外から多くの物資や人が集まるようになりました。

王は、河川交通と陸路が交わる要所を見下ろせる段丘に古墳を作りました。これがこの地区で最も大きい「白鳥塚古墳」です。川を行き来する人々は古墳を見上げ、王の偉大さを感じていたようです。

白鳥塚古墳が出来たことで、志段味地区は王が眠る特別な場所となり、さまざまな形や大きさの古墳が造られる場所となりました。

 

リアルな“古墳図鑑”

形や大きさが異なる古墳は、東西約1.7km、南北約1kmの範囲に分布しています。

ミュージアムを有する大塚・大久手古墳群地区だけでも、8基の古墳が見られます。敷地は、自然が豊かな緑地で休憩場所もたくさんあり、気軽に古墳を見て回れます。

 

造られた当時の姿に復元されているのは、国指定史跡「志段味大塚古墳」です。並べられた埴輪は約500本。筒状の円筒埴輪、鶏形埴輪、朝顔形埴輪などさまざまな形状が並び、色の配置は、実際に出土した埴輪を元に再現しています。

 

墳頂部には、王の亡がらを埋葬する「木棺」を再現。イベントなど特別な時に開けられるそうです。

 

しだみ古墳群で唯一確認されている四角形の「方墳」は「大久手3号墳」です。須恵器(すえき)が出土しています。

ここから15分ほど歩くと東谷山のふもとにある「東谷山白鳥古墳」、さらに30分ほどで山頂にある「尾張戸神社古墳」に到着。じっくり回りたい人は、ミュージアムにあるウォーキングマップを片手に散策してみてください。

 

つづいて、新施設のミュージアム館内を紹介。

 

体感型の“しだみゅー”展示室

志段味古墳群から出土した遺物を見られる展示室(有料)には、テーマ別で資料が展示・保管されています。

 

志段味大塚古墳の王が活躍する姿を復元展示したコーナー。かぶとや鈴の装飾は出土した物を元にして制作されました。古墳時代の男性平均身長に合わせ忠実に再現しています。

 

東谷山にある前方後円墳「中社(なかやしろ)古墳」を復元した触れる模型です。大きさは実物の120分の1。

 

西大久手古墳から出土した巫女形埴輪。年代は5世紀後半です。当施設のキャラクター「しだみこちゃん」のモデルになった埴輪です。

 

衣装体験コーナーでは、当時の服を身に付けて撮影ができます。長い髪を左右に分けて耳の横で束ねるのは、男性の特徴的なヘアスタイル。男女の違いを比べましょう。

 

こどもこふん、古代体験プログラムも

展示室以外にも見所はたくさん。絵本作家・いわいとしおさんが描きおろした「SHIDAMU大壁画」は、埴輪を作る古代人や動物たち、東谷山に朝日が昇る様子などが描かれています。

 

2階の「こどもこふん」は、古墳ラグ、古墳積み木とクッションなどこちらも古墳づくし。

こどもこふんの頂上には、王が眠る場所や副葬品が再現されていて本格的!

 

マスコットキャラクターの「埴輪氏武(はにわうじたける)」(左)と「しだみこちゃん」(右)

 

他にも、埴輪や勾玉(まがだま)作りの古代体験プログラムや、50分・90分コースの古墳ガイドツアーが楽しめます。古墳グッズが購入できるミュージアムショップもぜひチェックを。

ミュージアムと古墳散策で1日満喫できる、歴史の里・しだみ古墳群。5月5日(日)には、SHIDAMU春祭りが開催されます。ゴールデンウイークに訪れてみませんか。

 


 

▼歴史の里「しだみ古墳群」

場所/名古屋市守山区大字上志段味前山1367
開館時間/9:00~17:00(展示室への最終入場16:30)
休館日/月曜日(祝日の場合翌平日)
★4月27日(土)~5月6日(月)は、毎日営業 ※5月7日(火)、8日(水)は休館

入館料/無料(展示室のみ有料200円、中学生以下無料)
TEL/052-739-0520

https://www.rekishinosato.city.nagoya.jp/index.html