食べ物だけでなく、花にもオーガニック栽培があることをご存じですか。農薬や化学肥料を使わずに育てられたオーガニックフラワーは、東京では販売店が増えてきましたが、中部地方ではまだあまり知られていません。
今回は、オーガニックフラワーを取り扱う名古屋の生花店「種から根っこと葉っぱ」の内山早智子さんに、その魅力ついて聞きました。
|オーガニックフラワーとの出合い
フラワーアレンジメントをする内山さん
店での花の販売のほか、フラワーアレンジメント講座やセミナーを月に約20回も開催するほど、花に囲まれた毎日を送っている内山さん。約30年前にこの仕事を始めたそうですが、数年後には今までにないほどの花粉症や食品アレルギーに悩まされるようになったそうです。
店に届いた花を箱から出すだけで、目も鼻も喉もひどい状態になるほどでした。
名古屋栄にある生花店「種から根っこと葉っぱ」
職業病だと諦めかけていた内山さんですが、試しに食べ物や日用品をオーガニックなものに替えてみたところ、次第に症状が改善されるように。
オーガニックへの関心が高まると同時に、花に使われている農薬の量が気になり始め、調べてみたそうです。
「売り物の花は口に入れることを前提としていないので、非常に多くの農薬が使われているのです」と内山さんは話します。それが自身のアレルギーとどこまで関係があったのかは不明ですが、無農薬の花を取り扱いたいという気持ちが内山さんの中でしだいに大きくなっていきました。
そんな時、三重県でオーガニックフラワーを栽培する農家と知り合いになり、頼み込んで仕入れるようになりました。やがて同じ志の仲間と共に「日本オーガニックフラワー協会」を設立。今では講演やイベントなどを通じて無農薬・有機栽培の花の魅力を、各地の農家や一般の人々に伝えています。
|何といっても生命力が違う
オーガニック栽培のコスモス
内山さんによると、オーガニックフラワーの特徴はとにかく生命力にあふれている点。夏場に生けても傷みにくく、それどころか生けた部分から根っこが生えてくることがあるそうです。
「普通の花よりちゃんと咲いている期間が長い気がします。同業者も口々にそう言っていますね」
昨年9月には福島大学の研究で、オーガニックフラワーが通常の花と比べて腐敗しにくいというデータが出たそうです。人間の体と同じで、薬や栄養が過剰だと、かえってもろくなるのかもしれません。
ウインターコスモス(オーガニック栽培)
「花という商品の性質上、農薬を使うのも仕方ない部分はあります。結婚式の花が虫食いでは困りますしね。ただ、お客様が無農薬の花を選べないことが不幸だと思いました」と内山さんは話します。
オーガニックフラワーの色は普通の花よりも素朴で、時には少々の虫食いもあるそうです。「でも、フラワーアレンジメントもする私からすれば、それもかえって味わいのひとつ。わざとらしさのない自然の魅力があります」
食卓や玄関など家庭に飾る花もオーガニックフラワーが増えて欲しいと内山さんは考えています。
「家族にアレルギーの方がいらっしゃる場合は特におすすめします。花本来の美しさがあるので、お子さんの美的感覚を養うのにも良いと思いますよ」
身近な場所に置く花だからこそ、オーガニックだと安心ですね。
藍の花。これもオーガニックフラワー
|これからの課題とは
経営上の理由から、内山さんの店でも全てをオーガニックフラワーにするわけにはいきません。そもそも生産農家が全国に50軒ほどしかなく、栽培品種も限られているのが現状です。「もっともっと、オーガニックフラワーを扱う農家や店舗が増えて欲しい。私が生きているうちに(笑)。皆さんに魅力を伝えられるように頑張らなくっちゃ」と夢を語る内山さんでした。
店内で花を取り扱う内山さん
内山さんのお店ではオーガニックを含む生花はもちろん、ドライフラワーや、有機栽培用の花・野菜の種、花を使ったお茶やお菓子までさまざまな商品を取り扱っています。興味のある方はぜひ一度のぞいてみてはいかがでしょうか。
店内に展示されたドライフラワーなど
▼種から根っこと葉っぱ
住所/名古屋市中区栄5-12-32 栄サンライズビル1F
TEL/052-251-0471
営業時間/11:00~20:00
定休日/火曜日
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