環境に配慮した洗剤を使って生活空間をきれいにしたい。
そんな思いからスタートした「梅澤クリーン・結日(ゆうひ)」の代表である梅澤ルミ子さん。掃除や洗濯に使用しているソープナッツ(日本名はムクロジ)をネパールからフェアトレードで輸入しています。
ケミカルな洗剤を使わない掃除サービスを個人事業で始めた梅澤さんにその思いや経緯をお伺いしました。
梅澤ルミ子さん
|エステ業界から掃除業へと転身
Q.掃除業を始める前はどんなお仕事をされていたのですか?
梅澤:10代の時から美容関係に勤務していました。エステサロンが今ほどまだない時代でしたが、美しくなることは、自分をすごく変えてくれることであり、そこに魅力を感じました。有名美容室の経営するエステサロンのブライダルエステ部門などで働いた後、個人サロンのオーナーに声をかけていただき、そこで働くようになりました。オーナーには、見た目のきれいさだけではなく、自分らしさを大切にすることを教えていただき、自分自身をすごく成長させてもらったんです。
Q.外見ではなく、内面を磨くということですか?
梅澤:私の師匠は、外見だけをきれいにしてもだめ、内面から美しくなることが本当の美しさだという考えの方だったんです。サロンの部屋の掃除にしても、心地よく過ごせる空間にするよう、丁寧に細かくやることを教えられました。
28歳で結婚し、2年後に出産。3人目を出産する頃から、自分自身のやれることについて考え始めたという梅澤さん。もう少し生活に密接した中でやれることがあるのではないかと思うようになり、十数年働いたエステサロンを退職し、「きれいにすること」と「ナチュラルなもの」を組み合わせた時に思いついたのが「清掃」という仕事だったのだとか。そこから個人事業として、掃除会社をスタートさせたそうです。
Q.掃除会社を始めるにあたり、大事にされたことは何ですか?
梅澤:普段の生活の中でも、安全な素材を使って、きれいにしていくことです。心も体も健康になっていくことが大事だなと思い、掃除を通して、心から安らげる空間生み出すことができたらと思っています。
掃除にはすべて天然素材のものを使用。
その頃、タイのスラム街の幼稚園を支援している小児科医の講演会を聞く機会があり、まずは知ることが大事だということで、小学2年生の息子さんを連れて、現地へと同行させてもらったそうです。見た目は優しくおっとりした雰囲気の梅澤さんですが、抜群の行動力とそこにかける情熱に圧倒されます。
|生活排水を持続可能なもので
Q.天然成分の洗剤を使おうと思われたきっかけは何だったのですか?
梅澤:タイのスラム街で、息子はすぐに向こうの子どもたちと仲良くなって、サッカーしたりして遊んでいたんです。その時に彼らが飲んでいた濁った雨水を息子にも勧めてくれて。思わず、私は「飲んじゃダメ」と言ってしまって。息子には「何で?」と聞かれたんですが、私は答えることができなかったんです。その時、私たちが生活で使用している生活排水が環境を汚していることを改めて考え、使用する水をクリーンにすることが重要ではないかと思うようになったんです。
長年、美容業界で働いていた梅澤さんは、外見をきれいにするだけでなく、内面をきれいにするためには、水の大切さをお客様に伝えていましたが、世界には安全な水を飲めない人たちが、たくさんいることを目の当たりにし、改めて自分たちの生活を振り返ったといいます。
梅澤:そこから洗剤の原材料となる天然成分のものはないかと調べていると、ネパールでは昔からソープナッツという木の実が洗濯などに使われていることを知ったんです。それですぐにネパールでソープナッツを調達ができないか、現地の協力者を探し、交渉を始めました。
|定期的な仕事で貧困家庭をサポート
Q.ネパールの女性たちに仕事を依頼しようとしたきっかけは?
梅澤:現在、ネパールの中心部は、ビルが建ち、どんどん近代化されているんです。でも市民の暮らしはまだまだ貧困層も多く、女性たちの働き口も少ない。それでソープナッツを集めてもらい、私がそれを輸入することで、少しでも彼女たちの生計に役立てないかとフェアトレードでの輸入を始めました。
ムクロジもエキスを取った殻は、生ごみの処理に役立つこともわかり、農業用のコンポストにも使用できると言います。
作業するネパールの女性たち
Q.現在、どこまで製品化が進んでいますか?
梅澤:オリジナル製品を作ろうと岐阜県にある製造会社と話をして、試作まで到達しました。ネパールでは森林局の許可を取って、現地の協力者にお願いして、原料として送られてきます。ソープナッツの販売も始めました。コットン袋は障がい者の作業所の方に作ってもらっています。洗濯洗剤は年内に販売できるように進んでいます。
洗濯に使う場合は、コットンバッグに5~6個入れて、縛って、洗濯機の中に入れてもらえれば、柔軟剤もいらない。JICA中部なごや地球ひろば内「meets」で、ソープナッツを販売中。
これからの目標としては、フェアトレードとして、原材料を輸入し、生活を循環させて持続可能なものを作っていきたいとのこと。目の前にあることを一つずつ解決していくのが、それぞれのSDGsだと思うと、梅澤さんの行動はまさにその一歩を踏み出したと言えます。ネパールの美しい自然の中に、土に還らないプラスチックがあちこちに落ちている光景があるのを見て、やはり現状を少しずつでも変えて行かなくてはと感じたという梅澤さんの志に深く共感しました。
▼梅澤ルミ子さん
愛知県名古屋市出身。1982年生まれ。約20年エステティシャンとして主にブライダルエステに携わる。2018年フェアトレード事業に参加。個人事業「むすびの日」としてアクセサリーの販売業を開始。2019年清掃業「梅澤クリーン」開始。2020年屋号を『結日』に改名。
現在はCleanとBeautyに関わる輸入販売・化粧品・雑貨の企画・販売・民泊施設を中心とする清掃業、活動など 主にアジアを中心にフェアトレードによる原料調達で循環する商品を販売している。ハンデキャップをもつ方々が自分らしく生きる応援プロジェクト「BTW」を立ちあげる。
公式WEBサイト
https://you-hi.jp/aboutumezawa
▼セレクトショップ「meets」
※ソープナッツの購入はこちらでも販売しています
場所/名古屋市中村区平池町4-60-7
TEL/052-533-0220
営業時間/11:00~17:00
定休日/日・月曜(月曜が祝日の場合はよく平日)
公式WEBサイト
https://www.jica.go.jp/nagoya-hiroba/index.html
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