食文化を支える調理道具「鍋屋」の思い

調理道具をどこで買いますか?ホームセンターやインターネットなど選択肢はさまざまですが、専門店で「一生モノの道具」に出合ってみませんか?

ただ道具を売るだけでなく、人との繋がりを大切にする鍋屋の14代目水野節子さん、15代目水野文雄さん、入社2年目の眞野美智子さんに話を聞きました。

 

鋳物業から金物屋へ

名古屋市東区にある、調理道具専門店の「鍋屋」。東片端南の交差点に位置し、この辺りが「鍋屋町」と名付けられるゆえんとなりました。創業は1559年、現在で15代目という歴史のある店です。

織田信長から、尾張藩の鐘を鋳造する特権を与えられた鋳物頭の水野家。東別院の梵鐘(ぼんしょう)は水野家による代表作です。長年にわたり鋳物業を営んでいましたが、戦時中は鉄不足となり寺の釣鐘も国に差し出す状況に。戦後に14代目の節子さんが嫁いでからは金物屋の「鍋屋」として再始動することになりました。お客さんに物を教えてもらいながら、手探りで始めた小売店。現在では業務用から家庭用まで4000アイテム常備する名古屋有数の調理道具専門店となりました。

息子の文雄さんは、自動車部品メーカーのシステム担当やアルミ鍋製造メーカーに勤めてから、15代目に就任。継いで20年の節目となる2017年秋に店のリフォームを決意しました。「以前は卸問屋に見える外観で、一般のお客さんが入りにくい雰囲気だったんです。外観やウインドウのディスプレイをおしゃれにしたことで、通りすがりの人も気軽に入ってくれるようになりました」と、リフォーム後の変化を語ってくれました。

 

豊かな暮らしのお手伝い

取材日もひっきりなしにお客さんが来店。「〇〇さん、こんにちは。今日はどうされたの?」という何気ない会話から始まります。人とのお付き合いを大切にする鍋屋では、顔と名前を覚えるのは当たり前。「初めてのお客さんには、用途、コンロなどの台所設備、予算を聞き出し、物が良くてお値打ちの商品を紹介するよう努めています」と眞野さん。新居を構えて、台所用品一式をそろえる人もいるのだとか。鍋屋は卸値で提供しているので、お値打ちに買い物が楽しめます。

そして、アフターケアも万全。持ち手を取り替える、包丁を研ぐなど、道具とお客さんとのお付き合いが続きます。

常連の飲食店が長年使う道具は、いつでも届けられるようストック。「飲食店は、鍋に穴が空いたらその日の営業ができない。ネット注文では間に合わないからこそ、珍しい道具でも1つは在庫をしています」と文雄さんは話していました。

 

必見!レアな調理道具たち

これは、巨大なUFO釜(直径36cm、13,651円)と羽反(はそり)鍋(直径55cm、27,540円)。羽反鍋とは、端が反れた金属製の大鍋のことで東海地方独特の呼び名です。並べた雪平鍋(直径約20cm)と見比べてください!

 

これは、銅製の卵焼き器。左から「関東型」「名古屋型」「関西型」です。地域で形が分かれている理由は諸説ありますが、鍋屋で一番売れているのは、扱いやすい関西型。銅製は熱伝導が良く、ふわふわの卵焼きに仕上がります。

 

新聞より大きい竹編みは何に使うか分かりますか?これは「網捨(あみすて)」といって、魚などの崩れやすい佃煮を作る際、鍋底に敷いてすくい上げる物だそうです!
店頭には並んでいなくても、相談すると店の奥からいろいろなアイテムが出てきます。

 

食文化を支えていくために

「調理道具は、豊かな食生活を提供するためのツール」だと語る節子さん。「親はあまり料理を作らないけれど、自分は作りたい」という思いから鍋屋を訪れる若い人もいるそうです。道具を販売するだけでなく、その人が求めている「暮らし」のサポートをしているように感じました。

鍋屋のミッションは、「調理道具を通じて、お客様に豊かな食生活と道具への満足を提供し続けること」。良い物を届け、飲食業や日本の食文化を支えるために鍋屋は在る、と文雄さんは胸を張ります。

顔を見て会話しながら調理道具を選ぶ。その行動が、食生活を豊かにするきっかけになるのではないでしょうか。まずはふらっと立ち寄って、無数の調理道具にワクワクしてみては。

 


▼調理道具専門店 鍋屋
場所/名古屋市東区泉2-12-19
営業時間/9:00~18:00
定休日/第2、第3土曜、日曜、祝日

 

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