織物技術を守る「絹屋」のものづくり

買い物をする時、何を基準に選びますか?価格、デザイン、素材などポイントはさまざまですよね。今回は、日本の技術を生かした布製品を開発する「株式会社大醐(だいご)」を取材。「日本のものづくり」にこだわる代表取締役の後藤裕一さんにお話を伺いました。

「日本の価値」を求めて

1980年、名古屋市北区にアパレル業として創業。2008年から下着の製造卸にシフトチェンジし、ステテコや腹巻を販売して大好評となりました。しかし、一時的に売れても他社にまねされることも多々。「ブームが去っても続けていくには、モノの本質を追求するしかない」と感じた後藤さんは、ものづくりの探求を始めました。

当初は、職人のあてすらない状態。ネットで調べた工場に飛び込むことから始めたそうです。そんな中出合ったのは、滋賀県の「高島ちぢみ」という江戸時代から受け継がれる伝統素材。これでステテコを作ると、着心地の良さからリピーターが増えました。その後も地道な探求を続けながら日本の織物技術のすばらしさを再発見した後藤さん。2013年、シルク製品を中心に扱うブランド「絹屋」を立ち上げました。

 

素材を活かした商品開発

絹屋の人気商品「シルクリブ腹巻」は、一宮市で100年以上続くメリヤス工場で生産。古い機械でゆっくり編むので独特の風合いが生まれます。「ここの工場の、この機械でしか作れない物がある」。機械を壊れにくくするために、機械を年中稼働させ、工場に安定した仕事を供給できるよう発注量も細かく管理。古い機械や工場、職人を守ることは、日本の伝統や技術を未来に残すことにつながります。

絹屋は、靴下や肌着だけでなく雑貨も多彩。「絹セリシン手袋」は、絹の成分「セリシン」を残しながら織るという特殊な製法で作られています。セリシンは人間の肌を構成するアミノ酸と構造が似ているので、手袋をはめてこするだけで肌がツルツルに。大人気の品薄アイテムです。

 

パッケージにもひと工夫

パッケージにもこだわりが。絹屋の主軸商品の「冷え取り靴下」は、箱入りでリボン付き。贈り物にしたくなるデザインに仕上げました。紙は再生紙を使い、環境に配慮しています。

商品の箱詰めは名古屋市内の福祉作業所で行っています。細かい作業は納期を長くしたり、技術を身に付けてもらうために継続して仕事をお願いする。など十分な配慮をしながら共に活動を続けています。

「物づくりに関わる全てが、より良い活動につながってほしい」と後藤さん。しかし、社会的な側面を全面的にアピールしていません。「社会に貢献しているけれど“高くてまずい”じゃ続かない。“価格も適正でおいしい物”の背景が実は社会的だった、が理想だと思うんです。使った人が私たちの思いや背景を知ることでより愛着を持てたらいいですよね」

 

日本の物づくりを守る

「日本の物づくりを応援したい。日本でしかできない工場や職人の技術を生かしたい」という思いは、絹屋に関わる人の共通の願いです。「いずれは“シルクだったら絹屋”“本物のものづくりをしているのは大醐”と言われるように」と目標を語る後藤さん。絹糸の研究も進めていて、自社で繭から糸を作るのが夢なのだとか。

便利な世の中で、なんとなく安い物を買うこともあるかもしれませんが、生産背景や作り手の技術を思い浮かべて物を選ぶことで、買い物の役割が変わるかもしれません。

絹屋の商品は、中区栄のラシック6階「ほほほ」で購入可能です。ぜひ“ホンモノ”の心地良さを味わってみては。

 


▼ほほほ

場所/名古屋市中区栄3-6-1 ラシック6階
営業時間/11:00~21:00

株式会社大醐(オンラインショップ)
https://daigojapan.jp/

 

3月のNAT’sのプレゼントは、絹屋の「絹セリシン手袋」と「潤うシルクのハンドクリーム」です。応募は、3月31日(土)まで。こちらもぜひチェックしてくださいね!

>>>https://nats.nagoya/?p=1678