名古屋駅南の「ささしまライブ」を起点とした中川運河クルーズの定期運航が始まって約半年。ご存じですか？ リニア新幹線開通までに運河一帯を整備し、盛り上げていこうという動きがあります。どんな景色が見られるのでしょう。
｜名駅と名古屋港をつなぐ運河
(名古屋市港管理組合資料より)
2017年10月にささしまライブ地区に商業施設「グローバルゲート」と「名古屋プリンスホテル スカイタワー」が開業。と同時に始まったのが、ささしま地区と名古屋港を中川運河でつなぐ「クルーズ名古屋」です。土日祝と休日、春休みなどの学校休業日限定の運行で、ささしまライブからガーデンふ頭、金城ふ頭を運航します。（特別ツアーなどによる運航もあり）
中川運河は、1932（昭和７）年に全線開通し、全盛期の1964年ごろは1日200隻を超える通航があったそうですが、現在は1日２～3隻ほどになっています。1971（昭和46）年の水質汚濁防止法の施行に基づく対策により水質が改善、基準値以下を概ね達成しています。2017年9月には露橋水処理センターが供用開始し、赤潮の原因となる窒素やリンを以前よりも多く取り除くことができる「高度処理」が可能になったことで、以前よりも透明度は増してきました。
ささしまライブ（堀留）の乗り場
小栗橋～長良橋付近で見られる倉庫「三角屋根」
取材日はささしまライブからガーデンふ頭まで乗船。約1時間かけて、穏やかな運河を、音声ガイドによる解説を聞きながら河口へと向かいます。普段とは違う角度から街を眺めるとさまざまな発見が。フォトジェニックな三角屋根の倉庫や橋脚、アオサギやカワウなどの鳥、名古屋港周辺ではカラフルな貨物コンテナの山、車用の大型タンカーの往来…。運河沿いの見どころや整備はこれからが本番ですが、2019年秋ごろに注目の新施設ができる計画もあるとか。
※イメージ
調理鍋で有名な「バーミキュラ」のフラッグシップショップ「バーミキュラ ヴィレッジ（仮称）」が運河沿いにつくられる予定。ショッピング、カフェレストランでの料理が味わえたり、料理教室などを開催するスペースもつくられるようです。ショップ近くに、将来的には乗船場の設置が検討さているそうなので、誕生した際にはぜひ船で訪れてみて。
｜船が上下する「ロック体験」
ささしま出航から約40分で中川口通船門に到着。
ここでは、中川運河クルーズの最大の見どころ、「ロック」体験ができます。「ロック」（英：Lock）とは水位の異なる河川や運河、水路の間で船を上下させるための装置「閘門」（こうもん）のこと。中川運河と名古屋港の水位の最大高低差は約2.4ｍあります。
閘門内、水位計は20cm単位で目盛が刻まれる
運河から名古屋港へ向かう船は一旦、前後を水門で仕切られた閘室（こうしつ）に入ります。潮の状態に合わせ、前方（海側）から閘室内に水が少しずつ流れ込み、水位が上がり始めます。港から運河への進路の場合は逆で、水位を下げていく流れ。これは中米・パナマ運河と同じ仕組み（！）で、一般の人が閘室に入ることができる、全国的にも珍しいスポットです。
｜運河はものづくり都市の歴史
(C)名古屋港管理組合
中川運河やベイエリアは工業ゾーンとして発展してきました。名古屋港水族館、リニア・鉄道館、そして昨年誕生したレゴランド®・ジャパンなど観光施設はあるもの、点在している印象。観光の起点となる名古屋駅とそれらベイエリアの〈点〉をつなぐ、新たな交通網としてこの「クルーズ名古屋」に期待が寄せられています。
「名古屋駅を起点とした水上交通は、名古屋ベイエリアの観光地としての魅力を増すと同時に、中川運河を通り、名古屋の工業都市としての発展の歴史を知っていただく機会にもなるはず。名古屋の新たなにぎわい創出のために、まずは地元の方に知ってもらい、観光としても脚光をあびるよう、行政だけでなく地域のみなさんと手を組んで取り組んでいきたい」と、中川運河とベイエリアのまちづくりに携わってきた、名古屋市住宅都市局の坂本敏彦課長は話しています。
ゴールデンウィークや夏休みなど、まとまった連休がやってきます。県外からのゲストをお迎えする際には、動物園や名古屋城だけでなく、「ものづくり都市名古屋」のアピールもかねて、「クルーズ名古屋」を利用してみては。
▼「クルーズ名古屋」運行・料金（大人1人）
・ささしまライブ ― ガーデンふ頭 900円
・ささしまライブ ― 金城ふ頭 1500円
小学生は半額、未就学児は大人1人につき1人無料
詳しくは、運行する東山ガーデンまで。
http://cruise-nagoya.jp/
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