商店街ミツバチプロジェクト

ミツバチが私たちの生活に欠かせない存在なのはご存知ですか?国連環境計画は「世界の食料の9割を占める100種類の作物種のうち、7割はハチが受粉を媒介している」と発表しており、私たちに食物の恵みを与えてくれる大事な存在なのです。

2006年、東京・銀座で始まったミツバチプロジェクトをきっかけに都市型養蜂が注目され、名古屋でもその動きは広まりました。今回は、名古屋市北区・柳原商店街の「みつばちバーヤ」と南区・笠寺商店街の「笠寺ミツバチプロジェクト」を取材。

どちらも始めたきっかけは同じで、2011年、名古屋学院大学経済学部の水野晶夫教授の地域活性化研究プログラムとして企画された都市型養蜂の講座を受けたことでした。

 

北区・柳原商店街「みつばちバーヤ」

名古屋城の北東に位置する柳原商店街は、1962年に県内で1番、全国で2番目に誕生した商店街。1970年代は120ほどの店舗で賑わいましたが、現在は住人の高齢化に伴い48店舗に減少しています。

「柳原商店街を元気にしたい」と水野教授の講座を受け養蜂を始めたのが、商店街に暮らす岩田ゆうこさんと岩田まゆみさん。「みつばちバーヤ」を始動し、現在は5人で活動しています。

柳原商店街にあるビルの上にハチの巣箱があります。今回は、最近仲間に加わった喜田(きだ)しげみさんの3人で巣箱の状態をチェックする内検のスタートです。

春から秋にかけては週に2回ほど内検を実施。1つずつ巣枠を持ち上げ、女王バチがいるか、スムシ(ガの幼虫)がいないか、など目視で確認します。

女王バチは、群に1匹。働きバチとは大きさが異なりますが、区別できるようにマーカーで印が入っています。

1つの群は約2万匹のハチがいて、それぞれに役割が異なります。女王バチの世話係、幼虫の子育て班、花粉を集めに町を飛び回る外回り役など、ハチの中にも社会が出来上がっているのです。

「群にも個性があるのよ。働きものの群もいれば、のんびり屋のハチが多い群もいるの」とゆうこさん。

「最初は何も分からず、素手で内検して刺されたこともありました。怖い気持ちもあったけれど、今ではハチがかわいくて仕方がない。心配性だから、内検が慎重になっちゃう」と笑顔で話すまゆみさん。この日も3つの巣箱をくまなく見て、内検は無事終了です。

巣箱の奥に見えるのはテレビ塔。ハチは巣から2~3kmの距離を蜜や花粉を探して旅に出るので、ここのハチたちは名城公園の桜やバラからも蜜を採って帰ってきます。

始めた頃は、ハチの苦情が寄せられることもあったそうですが、最近では商店街と協力し、みつばちバーヤの「やなぎはら城下の蜂蜜」が商店街の名物になるよう奮闘しています。

ハチミツ(125g、1,100円)が購入できるのは、柳原商店街にある「カフェ&ギャラリー バオバブの木」と「大和電気」、名城公園内の「フラワープラザ」。名城公園tonarinoで開催されるマルシェ「あさみや」では、第三土曜に出店しています。次回は6月16日(土)。あさみやでは、採蜜イベントを行うこともあるそう!ぜひ名古屋の真ん中で採れたハチミツを味わってみては。

 

■あさみや(tonarino Facebookページ)
https://www.facebook.com/tonarinomeijo/?ref=br_tf

 

 

笠寺ミツバチプロジェクト

笠寺観音の参道として東海道が通り、古くから栄えていた南区・笠寺商店街。まちづくりプロジェクトの一環として、柳原商店街と同時期に養蜂を始めました。

 

笠寺ミツバチプロジェクトは、主にミツバチを飼育する「ミツバチプロジェクト」と、町にミツバチが好む植物を増やす「Bee Gardenプロジェクト」から成り立っています。メンバーは、30~60代で地域住民は半分ほど。中には養蜂に興味があり、遠方から参加している人もいるそう。名鉄・本笠寺駅近くのビルの屋上にある巣箱で週に2回、担当制で世話をしています。

 

採蜜をすると、1回で100瓶ほど「観音はちみつ(80g、800円)」が出来上がります。ハチは新瑞橋や呼続公園、天白川のあたりまでおでかけしていて、季節によって花が変わり、ハチミツの味の変化が楽しめるそうです。

 

地域の人に応援される活動に

ハチというと、怖いという印象を持つ人も少なくありません。「幼稚園の園路にハチが来るけど大丈夫か」など心配する声も寄せられました。「ミツバチは何もしなければ人を刺すことはありません。ハチがいても、そっと見守ってあげてほしい」とミツバチの習性や役割などを地域の人に説明、理解してもらうことは、都市型養蜂には欠かせないことだと、広報担当の青山知弘さんは話します。

「ミツバチは弱い生き物で、農薬などで死んでしまいます。“ミツバチが健康に暮らせる町は、人にも優しい町”という環境指標としての認識も深まれば」と青山さん。生き物と対話を欠かさずに共生しています。


笠寺観音内のBeeGardenと青山さん

「都市型養蜂は、地域の人の理解があって成り立つもの。応援されるプロジェクトでいたい」と、地域の小学校や福祉施設に出向き、ミツバチの紙芝居上演や園芸体験を開催。ミツバチを通して環境問題に関心を持ってもらう活動を続けています。

地域全体が良くなる活動を目指す笠寺ミツバチプロジェクト。「都市だからこそ、ミツバチと共生することで自然の恩恵を感じてほしい」と青山さんは熱い思いを語ってくれました。

笠寺ミツバチプロジェクトでは、5月27日にオープン学習会が開催されます。都市型養蜂に興味のある人はぜひ参加してみては。

 

「都市養蜂のオープン学習会」
日程/5月27日(日)10:30~12:00
場所/かんでらハウス(名古屋市南区笠寺町西之門35-2)
参加費/500円

▼詳しくはこちら
https://www.facebook.com/kasaderaBeeGarden/

 

■観音はちみつが購入できる場所(笠寺商店街内)
・喫茶店ミハル(笠寺商店街)
・鰻屋 鳥辰(笠寺商店街)
・かんのんひろば(毎月第四土曜10:00~14:00に開催するマルシェ、笠寺観音境内)
※第四土曜が26日(六の市)と重なる月は、第三土曜に開催

 


5月のNAT’sのプレゼントは、みつばちバーヤの「やなぎはら城下の蜂蜜」です。応募は5月25日(金)まで。こちらもチェックしてくださいね!

>>> https://nats.nagoya/?p=1884