“着る野菜”で食品ロスを活用「FOOD TEXTILE」

「食品ロス」という言葉、聞いたことはありますか?食品ロスとは、家庭では食べ残しや食材の余剰分、メーカーや店では売れ残りや加工時に出るくずなど、食べられるのに捨てられてしまう食品のことです。日本では、年間に家庭から約289万トン、事業で約357万トンの食品ロスが出ており、国民1人あたりに換算すると毎日ご飯1杯分の量を捨てていることになります。(2015年度推計)

世界的に見ても、食品ロスの削減は大きな課題です。今回は、食品ロスとして捨てられた野菜を活用して布を染色し、洋服や雑貨を販売するプロジェクト「FOOD TEXTILE」を展開する豊島株式会社の谷村佳宏さんにお話を伺いました。

 

食品ロスから生まれる色

創業1841年。綿を中心にさまざまな原料から糸、生地、製品を開発しているアパレル総合商社の豊島は、オーガニックコットンなど環境への取り組みを積極的に行っています。2014年、食品メーカーのキューピーから「規格外の野菜や廃材の再利用が進んでいない」という話をキャッチ。同時期に、食料を染料化する企業と出合ったことがきっかけとなり「FOOD TEXTILE」が始まりました。

キャベツ、紫キャベツ、レタスで染めたショッピングバックを2015年の展示会で発表。独特な色合いに注目が集まりましたが、現実的な価格ではないことと色の再現性という課題が残りました。

「食品残さの水分量やコンディションが、染色に影響します。その調整がすごく大変でした。製品を販売するなら、染めの原料となる食品の廃材を継続的に手に入れられるようにしなくてはいけない。となると、大手食品メーカーとのタイアップが必須と考えました」と谷村さん。現在では、カゴメ、タリーズコーヒージャパン、生活の木などの企業とコラボしています。

2016年には、女性に人気のファッションブランドURBAN RESEARCH DOORSと共同企画で「OYASAI BAG」を販売。店舗では、色に惹かれて手に取り、ラベルに書かれたコンセプトを読んで共感されるパターンが多かったとか。「企業としてはCSRの取り組みとしてもプラスになるので、継続的に扱ってもらいたいですね。そして、たくさんの人にファンになってもらえたらうれしいです」

 

FOOD TEXTILEをスタンダードに

捨てられてしまう食品の有効活用ではありますが、“食品ロスの量を減らしている”と声を大にして言えるほどの量ではありません。「ただ、FOOD TEXTILEを通して環境について考え、配慮するきっかけにはなると思うんです」と谷村さんは話します。

このプロジェクトで廃棄物を減らすためにも、販路の獲得が課題でもあります。「エコだけが目的ではなくて、ファッショナブルに出来上がらないと僕らがやる意味がない。FOOD TEXTILEが未来のスタンダードになるよう続けていきたいです」。

 

東海地方ならではの食材も


手前はコーヒーBAG、左奥からマロウブルー、紫イモ、ミソのTシャツ

5月からは、東海地方の雑貨ショップ「ON SEVEN DAYS」で共同企画された商品を販売。地元ならではの食材を使用しています。

「ON SEVEN DAYSさんが、地産地消の取り組みを提案してくださったのがきっかけです。食品メーカーさんに打診して、食品残さの量や出方をリサーチし実現できました」。岐阜県の老舗油屋「山本佐太郎商店」は、「大地のおやつシリーズ おいものかりんとう」の製造過程で出た紫イモの端部分を。西尾市の味噌屋今井醸造は、運営するカフェ「ぞうめし屋」から出た味噌を使ってTシャツやバッグが染められました。ON SEVEN DAYSは、愛知県を中心に14店舗展開しています。

食品ロスの有効活用につながるFOOD TEXTILE。オシャレな商品なのでプレゼントなどにも最適。食品から生まれた優しい色の製品を、ぜひ店頭で手に取ってみてください。

 

「FOOD TEXTILE×ON SEVEN DAYS」
Tシャツ(レギュラー、ミニマム)3,456円
バッグ 5,292円(参考価格)

 


▼ショップ情報はこちらから

ON SEVEN DAYS
https://www.on-seven-days.jp/home/

FOOD TEXTILE(オンラインショップ)
https://www.foodtextile.shop/