自然素材でクリーニング

家中に溜まったほこりやカビ、気になる油汚れを、梅雨入り前にお掃除しませんか? 重曹とセスキ炭酸ソーダの2大エコ掃除アイテムを使った「おそうじスプレー」の作り方、使い分けのポイントを紹介します。

 

人や家にやさしく、経済的

写真の女性が持っているものは、重曹です。ワラビやタケノコといった山菜のあく抜きなど料理にも使われる粉末ですね。シンクにさっとまいて、家庭にあるスポンジで軽くこするだけで、ピカピカのシンクがよみがえります。

洗浄力の高い掃除用洗剤はいくつも発売されていますが、用途に合わせて買い分けていると、何を使っていいか結局分からなくなるうえ、場所をとり水回りやシンクの下が手狭に。多くの商品には化学薬品も含まれているので、肌荒れや水質汚染の原因にもなっています。

こんな困ったことを解決してくれる掃除グッズが、重曹やセスキ炭酸ソーダといった「自然素材の泡立たない粉」なのです。名古屋で19年、自然素材を使ったハウスクリーニング業を営む「エピコンサル」代表の小笠原史恵さんは「自然素材は洗浄能力が劣ると勘違いされている方もいると思いますが、そんなことはありません。それぞれの素材の特長を生かせば十分きれいになります」と太鼓判を押します。

環境に配慮したエコ洗剤としては、トイレ掃除に便利なクエン酸や、汗も土も付いた靴下洗いなどに適した純石けんなどもあります。

 

セスキと重曹を使い分ける

左: お湯 + ごま油
中: お湯 + セスキ炭酸ソーダ + ごま油
右: お湯 + 重曹 + ごま油

それぞれのグラスには上記の組み合わせで液体が入っています。セスキと重曹のグラスの様子は同じでしょうか? 違いがありますね。「両方とも油汚れに効果があると思っている方、間違いではありません。2つとも油分を乳化し、たんぱく質を分解してくれますが、どんな油汚れかによって使い分けるとより効果を実感できるようになります」と小笠原さん。

 

重曹

自然界に存在する炭酸水素ナトリウムのこと。弱アルカリ性(pH8.4)の粉で、そのまま排水できる基準を満たしている。中和、消臭、湿気吸湿、発砲、研磨、軟水の効力がある。

【お勧めの使い方】
ガスコンロのこびりついた油/風呂掃除/洗濯槽の浄化(小さじ2程度を入れて通常の洗濯モードで1回まわす)/靴下(小さじ1をとかした重曹水につけおき) など

 

セスキ炭酸ソーダ

弱アルカリ性(pH9.4)、重曹と炭酸ソーダをほぼ半々で混ぜて結晶化したもの。油・皮脂・血液の汚れに強いので、洗濯剤としても利用できる。重曹のような研磨・湿気吸湿効果はない。

【お勧めの使い方】
レンジフードの油よごれ/汗のにおいが気になる洗濯(小さじ1程度のセスキを洗剤とは別で加えると、汗などをよく落とす)など

「キッチンの中でも、レンジフードなどの油汚れにはセスキ炭酸ソーダを、ガスコンロの五徳などこびりついた油汚れには研磨力のある重曹を使うのがお勧めします。同じ白い粉でも、ちょっとしたコツでお掃除が楽に。常に使えるようにスプレーを作っておくと便利ですよ」(小笠原さん)

 

スプレーにアロマオイルをプラス

おそうじスプレーの作り方は簡単です。市販のスプレー容器にぬるめの湯を半分入れ、小さじ1杯のセスキ炭酸ソーダを入れて軽くかき混ぜます。さらにお湯があふれ出ない程度まで入れて完成です。使用時は、水で濡らした雑巾に4~5回吹きかけて。「乾いた雑巾よりは濡れたものを。少しの量で布に浸透します。

また、重曹掃除で使うスポンジは表面に薄いネットがかかったタイプがお勧めです(小笠原さん)

 

先に紹介したスプレーにアロマオイルを加えるとさらに掃除が楽しくなります。アロマオイルはローズマリーやユーカリといった消臭効果が期待できるものを選び、スプレーボトルを作る際に10滴ほど入れておきます。床掃除などでこのスプレーを使うと、吹いた後にほんのり香ります。

 

掃除は心のリフレッシュに

小笠原さんは、建築会社に勤務した後、ドイツに渡ってナチュラルクリーニングについて学び、帰国して日本の大学院に通って環境学を学んだことが今の事業を始めるきっかけだったそうです。「私自身はお掃除が好きではなかったのですが(笑)。でも家がきれいになると心が元気になりませんか?家中の1カ所だけでもいいからこまめに掃除を。ナチュラル素材なので二度ふきも必要なしで簡単です。洗濯に使う場合も、いくつも洗剤使い分けずに済むので経済的です。ぜひ実践してみてください」

夏にかけては外気温が25度を超え、室内の油汚れが少し緩んでくるため、お掃除にはぴったりの時期。窓を開け放っていても暑すぎないので、換気も十分に行えます。さらに、汗ばむ季節でもあるので、重曹やセスキを使った洗濯も始めておきたいところ。家の洗剤や掃除を見直して、ナチュラルクリーニングを始めてみませんか?

 


▼取材協力/エピコンサル
http://www.epi-consult.jp/
TEL 052-705-3467
ハウスクリーニングの依頼はホームページから、お掃除の講習会は定期的に開催