集って、笑って、「福よせ雛」

3月3日はひな祭り。皆さんのご家庭では、ひな人形を飾っていますか?
今回は、少し古くなったひな人形を使ったユニークな取り組みをご紹介。アクティブでユーモアたっぷりの人形たちを見に出かけませんか?



人形供養に出されたひな人形

不要になり人形供養に出されたひな人形や、規格はずれで新品のまま処分されてしまうひな人形。これらを譲り受け、修繕したり工夫を凝らした衣裳に衣替えし、観光地などの集客を後押ししているボランティア団体があります。名古屋市内の主婦9人が中心となって活動する「福よせ雛プロジェクト」。7年前に発足しました。

プロジェクトの代表理事を務める吉野孝子さんら主婦の皆さんは長年、熱田区の「古裂美術工房」で着物をミニチュアサイズに仕立て直す仕事に携わってきました。ひな人形用の小さな着物の仕立てを頼まれたことがきっかけで、今の活動につながっています。


「着物の形を確認しようと手を広げてみたら、‟さぁいらっしゃい!“とか、何か語りかけるような表情に見えた。さらに、顔の角度も少しひねるだけで、人間味のある雰囲気に。ひな人形の魅力再発見でした。修繕するのは得意でしたし、これは何かできるのではと思いました」(吉野さん)

ひな壇の上からずーっと私たち人間の暮らしを見守っているひな人形。「飲んだり、食べたり、女子バナをしたり、歌ったり、踊ったりしてみたいと思っていながら見ていたのでは。『福よせ雛』と私たちは呼んでいますが、この人形たちを現代風に擬人化して展示してみよう」と思いつき、さまざまなアイデアを形にしてきました。一部企業や自治体もこの活動に賛同し、ことしは愛知県内15カ所(名古屋市内11か所)と岐阜県郡上市で「福よせ雛」を展示しています。

 


なごやめしに「OGU」も


吉野さんたちが管理する人形は約2000体。その一部は、東区橦木町にある「文化のみち 二葉館」で展示されています。公開前日の制作中のところを取材させてもらいました。


人形が手にしているのは、「福よせ雛プロジェクトの周遊ツアー」があったとして作られたひな人形サイズのチラシ。細かな小道具はほとんどが手作りです。こうして一つ一つ丁寧に手作業で飾り付けられます。

 

●おきな じー ゆにっと=OGU⁉

バブル期にタイムスリップしてジュリアナ風に。翁をユーモアたっぷりにスタイリングするアイデアは、「7年間いろいろ話しながらやってきた中から出てきたものです(笑)」(吉野さん)

 

●きしめんはストローでゴクゴク

岐阜県郡上市は「食品サンプル」製造の町として有名ですね。展示に関する相談をしたところ、なごやめしの「食品サンプル」を作ってくださったそうです。他にもメジャーななごやめしをおいしそうにいただく福よせ雛が見られます。

 

 

「牛車は軽車両扱い」になるということで、ミニチュア帽子をかぶったひな人形が交通事故現場で交通整理。

 

▼豊橋市二川「商屋 駒屋」

豊橋市の東にある二川宿の商屋「駒屋」。「豊橋と二川の魅力をPR」というテーマに合わせた展示をあちらこちらに用意しています。ゼッケンをつけた雑巾がけをする姿も見もの!「1週間ごとにディスプレーの位置を変えたり、人形を増やしたり、何度来ても楽しめるようにクイズラリーをやったり工夫しています」と館長の松田好市さん。展示物にかなり近づいて撮影できるので、カメラ好きにはお勧めです。

 

 

「ひな人形にこんなことをして、と思われる人もいるでしょうが、壊れるまで使い続けることが本来あるべき姿ではないでしょうか。作ったメーカーや地域、年代によってさまざまな表情のひな人形がありますし、各会場では地域の特性をいかしたさまざまなストーリーが生まれています。ぜひ遊びに行ってみてください」と吉野さん。

早春のおでかけは意外と限られていませんか?親子で、3世代で見て楽しめる「福よせ雛」に会いに出かけてみませんか?

 


 

■ 福よせ雛プロジェクト
052-755-0768 (平日10:00~17:00)
http://www.shakaibunka.jp/
※ 写真撮影NG、写真撮影のみの入場をお断りしている施設・店舗もあります。
※ 各会場での詳細は施設や運営団体へ問い合わせをお願いします。