時計店とパン屋のいい関係

タイトルを読んで「??」と思った人もいるでしょう。
時計屋「なのに」天然酵母の自家製「パン」をつくって販売しているお店があります。どんないい「関係」があるのでしょうか。



天白区・小塚時計店の製パン部

天白区の地下鉄原駅から南へ車で約10分。住宅街の一角にある「小塚時計店」は50年前、熱田区で時計店として創業。1972年に現在の天白区土原に移転し、時計のメンテナンスやジュエリーリフォームの店として長年地元で愛されてきました。

 

写真は「看板娘」でジュエリーデザイナーの小塚彩乃さん。3歳ともうすぐ1歳になるお子さんを育てながら店のプロモーションやパンづくりを手伝っています。

 

「パンづくりは今から約15年前、時計店のオーナーで私の父が始めました。当時高校生だった私が文化祭用にパンづくりに励んでいたこと、また、母が同時期にパン教室に通い始めたことがきっかけです。それを横で見ていた父が興味を持ったんです。今でもメインは父が担当。前日から夜通しで焼いて、毎週金曜の朝に店頭に並べられるようにしています」(小塚さん)

 

「どうせやるなら」と、本格的に製パンの勉強を開始。海外のおいしいパンを食べ歩きをしたり、東京の酵母培養会社まで研修に出向いたこともあったそうです。

薄くスライスしたフレッシュなリンゴをそのまま使った人気のリンゴパイ(写真は200円前後、量り売り)

小麦は北海道と三重県の国産限定。副材料の油脂類は必要なパンにのみ必要な量だけ使用。自然の力に任せて発酵する酵母に寄り添い、心を込めて手作りしています。小麦の香りや風味を感じる天然酵母パンは、定番の食パンなど約30種をラインナップ。予約注文する人も多く、界隈では話題の「時計店」です。

 


店の一角に「こどもぱんや」

お客さんがもっと楽しめるようにと、小塚さんが「ママ目線」で考えた企画が3月からスタート。「こどもぱんや」です。

 

工夫したのは4つのポイント。

子どもが届く高さに陳列する

パンを1つずつビニールで個包装

子どもサイズのトングとトレーを用意

アレルギー表示が一目で分かる

 

「自発的にお手伝いをできる環境を整えてあげることで子どもの成長になればと考えました。親子連れでの来店も多く、ママもお子さんも楽しんでくれたらいいなと思っています」

自分でとった手のひらサイズのメロンパンをパク!(イートインはなし、この日は特別に食べさせてもらいました)

 

ママ目線のサービスとして、店の駐車場から電話をもらって、駐車場まで届けるという、ちょっとアナログなドライブスルーサービスも行っています。

 

 


毎週会うから好みが分かる

小塚さんはイタリアに留学してデザインの勉強をしてきた経験もあるジュエリーデザイナー。本職の時計店のほうにもいい影響が出ていると話します。

 

「今でこそ本屋や家具店の中にカフェがあるなど、異業種のコラボという営業スタイルは当たり前ですが、15年前はちょっと変わった存在でした。オールシーズンお客さまと接するからこそ、ファッションの好みが知れる。毎週会うからこそ信頼して大切なジュエリーのリフォームをお願いできるといってくださるお客さまもいらっしゃいます。いい相乗効果が生まれていますよ」と小塚さん。

 

金曜の朝、お近くの方は出かけてみては?

 


 

●取材協力/小塚時計店

名古屋市天白区土原4-415

052-803-0015

パンの日【毎週金曜】9:00~19:00、祝日・夏期(7月半ば~8月)は休み

※午前中で売り切れることも多いので来店は早めの時間をお勧めします

http://tjp.jimdo.com/