サボテンを食べて夏バテ対策

「サボテンのまち」春日井市。鑑賞用はもちろん、食用のサボテンが栽培されています。食べたことありますか？少し酸味があり疲労回復の効果が期待できるという、夏にぴったりの食材。生産者、サボテンスイーツを取材しました。

｜食用のウチワサボテン（ノパル）

多肉植物のブームで、なんとなく身近な存在に感じられるサボテンですが、食べるとなると話は別。ところが、春日井市では毎年小中学校の学校給食に出されるほど、市民にとってはお馴染みのご当地食材なのです。この７月にも２回、サボテンを使った料理が並びました。

５０年以上前からサボテン農家という「後藤サボテン」の３代目、後藤容充さんは普及の立役者の一人。栽培の歴史や特徴、食べ方などを聞きました。

・種類はウチワサボテン
大人の手のサイズほどの大きさ。サボテンの原産地メキシコと比べて多湿な日本ですが、ビニールハウスで換気をしながら、極力農薬などは使わず栽培されています。収穫期は４月初旬から１１月頃まで。秋頃までは生育が旺盛で、柔らかな新芽が実ります。

・疲労回復、整腸作用に期待
愛知県産業技術研究所食品工業センターおよび名城大学農学部分析の分析によると、水溶性の食物繊維や酸化防止効果のあるビタミンC、β―カロテン、小松菜と同程度のカルシウムを含むことが分かっています。また、マグネシウムやクエン酸など有機酸も多く含むことから疲労回復などの効果が期待できます。

｜きっかけは伊勢湾台風

春日井でサボテン栽培が始まったのは1953（昭和28）年ごろ。果樹栽培の傍ら、副業として行うというものでした。ところが、1959（昭和34）年の伊勢湾台風により果樹園は大打撃を受け壊滅状態に。それ以来サボテンに軸を置いた農家が急激に増えたそうです。

「『砂漠は生きている』というドキュメンタリーが放送されて、サボテンブームになったこともあったそうです。ただ最近は生産者の高齢化とともに担い手不足になり、今では市内に7件が残るのみとなってしまいましたが、行政のバックアップもあり、サボテンが春日井の特産品として売り出されています。食用としては１０年ほど前から商品化しています。鑑賞用だけのサボテンでは、なかなか暮らしていくのも大変なんです（笑）。栄養価も高いサボテン、まずは食べてみてください」と後藤さん。

｜大根おろし、サラダ、ジュースに
ノパルは100ｇ（2～３枚）160円前後。ネット通販や現地で直接購入できます。

食べ方としては、夏場はピーラーで縦に薄くそいで、めんつゆとおろししょうがでさっぱりと。大根おろしやモズクと一緒にあえてというのもお勧めです。５分ほどめんつゆに浸しておくと、オクラのように粘りが出てきて、のど越しもさらによくなります。

朝食に手軽に取り入れるなら、旬のフルーツと一緒にミックスジュースにするのも。野菜と同じ感覚で使用してみましょう。

食べるときは、表面についた白いトゲ座を切り落とすようにしてくださいね。

｜夏季限定！サボテンかき氷

春日井市内の飲食店ではサボテンを使ったメニューを提供しているところがあります。3年前に春日井インター近くに開店した野菜スイーツの人気店「elever la vie」（エルヴェラヴィ）もその一つ。夏季限定でサボテンを使ったかき氷を味わえます！　同店で人気のトマトのショートケーキやジャガイモのベイクドチーズケーキ、一度は見たことありませんか？

・サボテンかき氷600円・税込み、テイクアウトも可

三重県で取れる天然水「美里水」を使った氷は、甘味がありかき氷との相性抜群。そこに、ペースト状にしたノパルとてんさい糖、グレープフルーツの果汁、レモンなどを合わせてつくったオリジナルシロップをオン。「グレープフルーツを合わせるのは、味を調えるという意味だけでなく、食べ合わせという部分も意識して選んだ食材。おいしくて健康にもよくないとね。氷はフワフワで、口いっぱいに広がるさわやかさ、オススメですよ」とシェフの吉川成輝さん。

ボリュームも爽快感もたっぷりのかき氷は女性なら2人で食べるのがちょうどいいくらい。かき氷の他に、ノパルを使った季節のレアチーズタルトやシャーベットも販売（数量限定）。今後はノパルとイチジク、リンゴ、巨峰を使ったシャーベットも登場予定とのことです。

見て癒されて、食べて健康に。サボテン目的の夏ドライブ、今週末のお出かけにいかが？

取材協力／

▼後藤サボテン